阿奥 アアオ
Ā-ào
 中国雲南地方の紅河(ソンコイ川)南岸及び奥地に住む哈尼(ハニ)族が信仰する大地の神。
東アジア > 中国少数民族  文献:02

アイ
Äi
アイアタル

アイアタル
Aiatar
 もしくは「アジャタル」とも。フィンランドの民間伝承において森に住むとされる蛇を育てている怪物。地域によって「アヤタル」、「アヤッタラ」とも呼ばれる。またエストニア南部では「アイ」、「アイヤタル」、蛇やドラゴンの姿で現れるが、普段は女の姿をしているされる。森でアイアタルに出会ったり目撃したりするとひどい病気にかかるという。
北ヨーロッパ > 北欧伝承  文献:1142
キーワード:病気蛇・龍・ドラゴン

アイ・アパエク
Ai Apaec
 ペルーのモチェ(モチカ)文化と、続くチムー文化における、天空神および創造神(天空神の息子という説もある)。モチェでは人間と隔絶し山頂に住む創造神が存在したが、この化身であるアイ・アパエクがこの神の玉座の下に控え、積極的に人間に関与する役目を担っていたと考えられている。上下二対の剥きでた牙を持ち、蛇の形のベルトを身につけた姿で表された。また蛇の頭の耳飾り、ジャガーの頭飾りをしているときもあった。アイ・アパエクについてはまだ分かってないことも多く、この名称が神名ではなく「創ること」を意味する言葉ではないかとする研究もある。
中南米 > その他  文献:0848
キーワード:海・大洋・航海

アイガムハ
Aigamuxa
 アメリカ南部のコイコイ人の神話に登場する怪物。砂丘に出没するとされる。人を襲って食べるが、目が足の甲についていたために周囲を見回すためには逆立ちしなければならなかったという。
アフリカ > アフリカ緒神話  文献:0448
キーワード:食人

アイス
Ays
 アルメニアの言葉で「風」を意味すると同時に、風の中にいて狂気をもたらすとされる悪霊のこと。
西アジア > 西アジア諸神話  文献:11

愛染明王 あいぜんみょうおう
Rāgarāja, Mahārāga
 仏教における明王の一。サンスクリットでは「ラーガラージャ」、あるいは「マハーラーガ」と呼ばれる。この「ラーガ」は染めること、赤いこと、あるいは激しい欲望などを意味する。インド神話の愛の神カーマが取り入れられたものと考えられている。愛欲を本体とする神で敬愛を司るとされる。全身赤色で一面三目六臂、頭に獅子の冠をいただき、顔には常に怒りの相を表わす。一般に金剛薩偏:土+旁:垂の教令輪身(きょうりょうりんじん)とされる。近世では、恋愛を助け、遊女を守る神としても信仰された。また、俗に、この明王を信仰すると美貌になると信じられていた。
インド亜大陸 > 仏教  文献:34

アイトワラス
Aitvaras
 もしくは「アイトヴァラス」とも。リトアニアの伝承における怪物の一種。ドイツのプークやエストニアのピスハンドの類いの小さなドラゴン型の魔獣。アイトワラスの場合、家の中では黒猫ないし黒い雄鶏の姿をしているが、外に出ると空を飛ぶ翼を持ったドラゴン、あるいは火の尾をもつ蛇になる。アイトワラスは魂を引き換えに悪魔から買ったり、7歳の雄鶏の卵から生まれたりすることで手に入る。あるいは家の中にいつのまにかいることもあるが、いずれにしても追い出すことはとても難しいとされる。アイトワラスが家にいつくと家の所有者は裕福になるが、これはアイトワラスが牛乳や穀物、お金をよそから盗んでくるからである。勿論この被害に遭うのはたいていその家の隣人である。そしてアイトワラスは見返りとしてオムレツを要求する。
 ある民話には教会で清めたロウソクでアイトワラスを照らしたところ消滅したと書かれている。アイトワラスは1547年の文献に始めて登場する。
東・中央ヨーロッパ > バルト地域  文献:1142
キーワード:蛇・龍・ドラゴン

アイニ
Aini, Ain, Aim,Aym, Haborym
 ユダヤの魔神で聖書などに登場する。「火炎公」、「破壊公」等と呼ばれ、蛇と猫と人間の頭を持った三つ首の姿で、人間の頭の額には五芒星の印がついていることもある。右手には決して消えない松明(または火の玉)を持ち、この世に火炎地獄を作るため、見るもの全てに放火しようとする。常に赤みがかった煙に包まれ、地獄の毒蛇(またはトカゲ)にまたがっている。法律に詳しいともされる。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:0304
キーワード:

アイヌソッキ
 
 アイヌにおける人魚。渡島半島の内浦湾に棲むという。上半身が人間、下半身が魚の姿で捕まえると逃してくれと助けを求めたり、食べると長寿になるなど本州の人魚ほぼ同じ伝承が伝えられている。
日本 > アイヌ  文献:24
キーワード:人頭獣身魚類

アイヌラック
 
 アイヌ民族における英雄的なカムイ。オキクと同一視される。名前である「アイヌラック」は「アイヌ(人間)みたいな人」といった意味があり、神(カムイ)であるにも関わらず地上でアイヌと共に暮らしたことから付けられた名前だとされる。アイヌモシ(人間界)に顕現するときは人間と同じ姿になる。
 コタンカカムイが国造りのために地上に降りてきた時、同行したシマフクロウのカムイであるコタンコカムイの止まり木としてハルニレのカムイであるチキサニカムイが誕生した。天上界にいた雷のカムイであるカンナカムイがこのチキサニカムイに一目惚れをしてそば近づいたが、ハルニレ(チキサニカムイ)に雷(カンナカムイ)が落ちた結果、チキサニカムイは火に包まれてしまった。この炎の中からアイヌラックが生まれた。
日本 > アイヌ  文献:0252

アイヤタル
Äijätär
アイアタル

アイヤッパン
Aiyappan
 インド南部のケララ州やその近隣の州で信仰される地方神。「アイエナル(Iyenar)」の名でも呼ばれる。シヴァヴィシュヌの間に生まれた神とされる。不老不死の霊薬「アムリタ」がアスラに奪われたとき、ヴィシュヌは美女に化けてアスラを誘惑しこれを奪い返したが、この時シヴァが美女になったヴィシュヌを見て愛欲を抑えきれず、交わって生まれたのがアイヤッパンだという。このため「シヴァ(=ハリ)とヴィシュヌ(=ハラ)との間に生まれた子」という意味の「ハリハラプトラ(Hariharaputra)」の名前でも呼ばれる。悪霊を追い払い、末世を救う神であり、また農業や家畜を守護する神として信仰を集めている。。
インド亜大陸 > インド南部  文献:02

アイラーヴァタ
Airavata, Airāvata
 インド神話に登場する四本の牙を持つ巨大な白象。雷霆と戦争の神であるインドラの乗り物であるとされる。象頭の神ガネーシャは元々人間の姿をした神だったが、誕生日を祝う祝宴において見つめられるだけで危険な、シャニと呼ばれる土星の神に見つめられたせいで人間の頭をなくしてしまった。ガネーシャの代わりの頭がなかなか見つからず、やむなくヴィシュヌによってアイラーヴァタの頭を与えられたという。
インド亜大陸 > インド神話  文献:07

アヴァローキテーシュヴァラ
Avalokiteshvara,Avalokiteśvara
 仏教における仏尊の一人で、広範囲の地域で信仰を受けるボーディサットヴァ(菩薩)。名前は「慈悲深き眼をした主」ないし「高所より見守る王」を意味する。仏教独自の神だが、一説にペルシアの古い神アナーヒターやアールマティー(→スペンタ・アルマイティ)を起源とすると考えられている。アミターバ(阿弥陀如来)から発現したボーディサットヴァであり、アミターバの浄土に留まりそこから人間や動物に救いの手を差し伸べるとされる。加護を求められればあらゆる衆生に救いの手を差し伸べる慈悲深き神であり、その慈悲の力は灼熱地獄に苦しむ者や昆虫や芋虫にまで及ぶという。あらゆる状況・場面において慈悲の力を発揮するために姿を変えてあらわれるという。チュンディーハヤグリーヴァエカダムシャカチンターマニチャクラアモーガパーシャサハスラヴジャなどは全てアヴァローキテーシュヴァラの変化した姿だとされる。
 チベット仏教においてはシェンレーシク、中国においては観音(グアンイン)、日本においては観音菩薩などと呼ばれ、それぞれの地域で独自な変化を遂げ信仰されている。
インド亜大陸 > 仏教  文献:07

アーヴァンク
Afanc
 イギリスのウェールズやアイルランドに伝わる邪悪な精霊。名前は「川」を意味する単語から派生したもの。「アバック(Abac,Abhac)」、「アダンク(Addanc)」、「アヴァンク(Avanc)」、「アヴランク(Afranc)」などの名でも呼ばれる。湖の中に動物を引きずりこんでむさぼり食う。また湖の水を溢れ出させ、あたりを凄まじい水害に巻き込むとされている。アーヴァンクを引き起こした洪水によってグレートブリテン島の人間は男女二人を残して全員溺死し、この二人がイングランド人の祖先となった、という伝説が残っている。地方ごとの様々な湖がその住処として伝わっている。
西ヨーロッパ > イングランド伝承  文献:1142
キーワード:湖沼・河川

アウィアテオトル
Ahuiatéotl
 アステカの官能の神の一人。アウィアトル(Ahuíatl)とも呼ばれ、アウィアテテオの一人であるマクウィルショチトルの別名。ショチピリの化身の一人とも言われる。
中南米 > アステカ神話

アウィアテテオ
Ahuiateteo
 メキシコ中央部、アステカの神。5人一組の神で、飲酒、賭け事、性交その他の快楽が度を越した場合の危険と罰を象徴している。それぞれ、マクイルクェツパリン(五のトカゲ)、マクイルコスカクアウトリ(五のコンドル)、マクイルトチトリ(五のウサギ)、マクイルショチトル(五の花)、マクイルマリナリ(五の草)という名前をもっている。ある種の奇形と病気は不謹慎な行為に対してアウィアテテオの神たちが与えた罰だと考えられていた。彼等は南の方位に関連付けられた神で、彼等の口の部分には5という数字を示す人間の手が描かれる。
中南米 > アステカ神話  文献:33
キーワード:病気方位

アウィアトル
Ahuíatl
アウィアテオトル

アウィテリン・ツィタ
Awitelin Tsita
 ネイティブアメリカンの一部族、ズーニー族における「母なる大地」。原初の両性具有の存在アウォナウィロナの一部から「父なる天」アポヤン・タチュとともに成った。全ての生命はアウィテリン・ツィタの持つ4つの子宮から生み出されたという。この子宮とはつまり地下世界を指し、ここから地上世界にでた生物達は環境の変化になれるため長い期間を要したという。これは人間も例外ではなく、当初人間は大きな耳、フクロウのような目、巨大な水かき、短い尾を持ち、鱗に覆われた黒い体をしていたという。
北米 > ネイティブアメリカン 文献:48

アーウェルンクス
Averruncus
 ローマにおいて禍を転じて福と成すという神。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

アウォナウィロナ
Awonawilona
 ネイティブアメリカンの一部族、ズーニー族の神話で、「全てを包容する者」とされる両性具有の存在。世界の一切が闇と空虚であったとき、万物に先立ち自らの意思で自らを創造したという。アウォナウィロナは世界の創造を思い立ち、まず霧を創造した。霧が濃くなるとそれは雨となり、原初の空虚を広大な海洋で満たした。そして自分自身は太陽となった。さらにアウォナウィロナは自分の一部を剥いで、海洋の上に緑なす苔としておいた。この苔は固まると2つの巨大な被造物となり、永遠と結びつくようになった。この二つは「母なる大地」アウィテリン・ツィタと「父なる天」アポヤン・タチュとなった。
北米 > ネイティブアメリカン  文献:013148
キーワード:太陽

アウキ
Auki
 ペルーのケチュア族における山の精霊。アンデス高地に棲んでおり、ビクーナ(ラクダ科の動物)やコンドル、精霊猫コアらはアウキのしもべであるとされる。人間の病気を治す精霊でもあり、ブルーホと呼ばれるシャーマンによって呼び出され治療法を指示する他、予言の手助けもする。
中南米 > その他  文献:1142

アウステル
Auster
 ローマ神話における南風の神。ギリシアのノトスにあたる。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

アウストリ
Austri
 北欧神話において、四方で天空を支えているドヴェルグのうち、東を支えるドヴェルグ(あとの三人は西のヴェストリ、南のスズリ、北のノルズリ)。彼らの支えている空は元々はユミルの頭蓋骨だった。
北ヨーロッパ > 北欧神話  文献:42
キーワード:方位

アウズフムラ
Audhumbla, Audumla
 北欧神話における原初の巨大な牝牛。原初の巨人ユミルに次いで原初の深遠「ギンヌンガガプ(Ginnungagap)」の溶けた氷から生まれ、塩辛い霜で覆われた石を舐めて養分を取り、四つの乳房から川のように流れ出るミルクはユミルを育てた。その削られた石からはブーリという巨人が生まれた。
北ヨーロッパ > 北欧神話  文献:0910
キーワード:

アウフ
Auf
 エジプト神話における冥界の太陽の神。名前は「肉」もしくは「肉体」を意味する。太陽神であるレーは太陽の舟に乗って旅することによって大地を照らしているが、時間帯によって様々に姿を変えるとされた。つまり、昇る太陽はケプリ、正午の太陽はレー、沈みゆく太陽はアトゥムだとされる。そして大地から太陽が見えない間、レーはアウフとなり闇の太陽として冥界を照らしているとされる。
アフリカ > エジプト神話  文献:30
キーワード:太陽死・冥界

アウフホッカー
Aufhocker
 ドイツの伝承に残る怪物。名前は「飛びかかる」を意味する。ブラック・ドッグのような巨大な犬の姿で、人気のない夜道に現れ家畜や人を驚かす。後ろ足で立ち上がり襲ってくることもあるという。馬の姿で現れることも多く、戯れに上に乗ってしまうとアウフホッカーが沼や川に投げ込むまで降りることが出来なくなる。
東・中央ヨーロッパ > ドイツ伝承  文献:1042
キーワード:犬・狼

アウリアリア
 
 ミクロネシアのギルバート諸島における創世神話で二番目に生まれた神。赤い肌の巨人として描写される。原初、世界は天と地がくっついていて生物が住みにくかった場所であった。それを憂いたアウリアリアは兄のタバケアから棒を借り、天の高い岩に突き刺して、その間にエイを入り込ませて天と地の間を広げた。植物の神ネイ・シツアアビネと恋に落ちたが、ネイ・シツアアビネは結婚した後死んでしまい、その頭から最初のココヤシが生えた。
環太平洋 > ミクロネシア  文献:0210

アウルゲルミル
Aurgermir
ユミル

アウロラ
Aurora
 ローマ神話における曙の女神。ギリシアのエオスに相当する。自然現象である「オーロラ」の語源となった。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

アエシュマ
Aesuma
 古代ペルシアの民族宗教「ゾロアスター教」に出てくる悪魔。不浄の(魔)神アンラ・マンユ(アーリマン)の腹心の部下。その名は「凶暴」という意味があり、邪悪にして狡猾、残虐にして不義なる者で、人の怒りと欲望につけこむとされる。血塗られた棍棒を持ち、人に益をなす家畜や死者の魂を責め殺す。酔っ払って大暴れをする者などは「アエシュマに魅入られた者」と言われた。魔族ダエーワを率い、不義なる魔術師を使って世に戦乱を広げ、またアルコールに酔いつぶれているものをそそのかし、乱暴や狂乱を導くという。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:041113

アエリコ
Aërico
 バルカン半島の南西部アルバニアの民間伝承において、特定の木(特に桜の老木)に住むとされる悪魔。木に近づいた者を容赦なく攻撃してくるという。アエリコの住む木の影に触れると痛みを伴う手足の腫れが引き起こされるとされている。
南ヨーロッパ > アルバニア  文献:11

青行燈
あおあんどん
 日本の妖怪の一種。「あおあんどう」とも読む。鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に描かれている。百物語をするとあらわれるという。百物語は、夜数人が集まって交代で怪談を語るもので、百本の蝋燭、または行燈に百本の灯心を入れてともし、一つの話が終わるごとに一本ずつ消していくものだった。これを百本全部行った時にあらわれる妖怪、或いは起こる怪異のことを青行燈と称するようだが詳細は不明。江戸中期には百物語を行う際は行燈に青い紙を張るという約束事があったようなので、名前はそこから来たと思われる。「今昔百鬼拾遺」には行燈の傍に立つ長い髪の鬼女の姿を描いている。
日本 > 妖怪・その他  文献:0324

青坊主
あおぼうず
 日本の岡山県邑久郡地方にあらわれる妖怪。衣服もしくは体が青い色をした大坊主で、空家などに現われるという。鳥山石燕の「画図百鬼夜行」にも一つ目の法師姿の青坊主が描かれているが、説明が無い為にその詳細は不明。
日本 > 妖怪・その他  文献:24
キーワード:一つ目・片目

奥瑪 アオマ
Ào-mă
 中国雲南地方の紅河(ソンコイ川)南岸及び奥地に住む哈尼(ハニ)族が信仰する天女神。神々の中で最大の神であり、万物の創造神とされる。阿奥搓司搓欽とともに世界を支配する。
東アジア > 中国少数民族  文献:02

敖雷巴爾汗 アォレィバルカン
Áoléibāěrhàn
 中国の少数民族、達斡爾(ダフール)族が祀る病気治癒の神。キツネやイタチのような動物が仙化したもので「狐仙爺(こせんや)」とも呼ばれる。豚、鶏などを殺して供え、加護を祈ると病気が治るという。
東アジア > 中国少数民族  文献:02
キーワード:治癒・医療

アオングス
Aonghus
 ケルト神話における愛の神。「オイングス(Oengus)」とも呼ばれる。神々の父ダグザと水の女神ボアンの間に生まれた私生児。
西ヨーロッパ > ケルト神話・アイルランド神話  文献:09

アカアンガ
Akaanga
 ポリネシアのクック諸島にあるマンガイア島において信じられている悪魔の一種。冥界の女王ミル・クラの配下であり、死んで旅立った魂を網で捕まえてミル・クラへと引き渡してしまう。
環太平洋 > ポリネシア  文献:11
キーワード:死・冥界

赤えいの魚
あかえいのうお
 日本における妖怪、あるいは想像上の生物。竹原春泉画、桃山人文の「絵本百物語」で紹介されているもの。身の丈三里(約12km)以上という巨大な赤いエイで、背中に砂が積もるとそれを落とすために時々浮上する。海に浮いている姿は島にしか見えず、巨体ゆえに草木(正体は珊瑚や海草かもしれない)まで生えているという。人に危害を加えようとするものではないが、舟で近寄ったりしたとき急に沈み始めたりするのでその波で舟が転覆することもあるという。
日本 > 妖怪・その他  文献:2451
キーワード:魚類

アカカソー
Akakasoh
 ミャンマーにおける木の精霊で樹木に住むナットの一種。木の中でも一番高い枝に住んでいるとされる。
東南アジア > インドシナ半島  文献:11

アカガンタァ
 
 沖縄において赤い髪の赤ん坊のような姿をした、本州における座敷童子のような妖怪のこと。語義は「赤+ガンタァ(垂れ下がった子供の髪)」。旧家の広間に居て、寝ている人の枕を返したり、人を押さえつけたりするという。茶目っ気があり親しみやすい性格の妖怪だと考えられている。
日本 > 沖縄  文献:19

アガシオン
Agathion
 ユダヤ系の魔術師が使う使い魔のうち、実態がない使い魔の総称。アガシオンはたいてい、壺や指輪、護符、魔法円などに封じられており、魔術師の命によって出現し、用事が済むと再び封印される。その出現時の姿はまちまちで、小動物の姿もものも異形の姿で出現するものもいる。
ヨーロッパ全般 > 伝承・その他  文献:03

赤舌
あかした
 日本において、川に住んでおり弱者の見方をしてくれるという妖怪の一種。いつも赤い舌を出しているので赤舌という。鳥山石燕の「画図百鬼夜行」には水門の上で黒雲をまとい、獅子鼻をして舌を出した、三本の鍵爪を持つ四足獣のような姿で描かれている。かつて津軽の用水路に出現したという言い伝えがあり、水門の番をする妖怪だと考えられていたようだが、これは「画図百鬼夜行」の絵柄からの連想であろうと思われる。もともと赤舌とは陰陽道における赤舌神(しゃくぜつじん)がモデルだったことは間違いないが、赤舌神は水門などに全く関連が無い。
日本 > 妖怪・その他  文献:03

アガースラ
Aghasura
 インド神話においてアスラ族の一人とされる存在。アガースラとは「アガ」という名のアスラ、という意味。悪王カンサの将軍であると伝えられる。ヒンドゥー教経典の一つ、「バーガヴァタ・プラーナ」によれば、アガースラはアジャガラという巨大な蛇の姿で、英雄神クリシュナとその仲間たちを飲み込もうと画策する。アガースラの口は見たところ洞窟の入り口そっくりだったので、クリシュナを除く仲間たちと、その家畜は騙されて中に入ってしまう。このことを知ったクリシュナは、仲間たちを救い出し、アガースラを倒したとされる。この経典中では、クリシュナはヴィシュヌのアバターラ(化身)と一つとされているので、アガースラはヴィシュヌに倒されたことになる。
インド亜大陸 > インド神話  文献:0304
キーワード:蛇・龍・ドラゴン

赤殿中
あかでんちゅう
 日本の徳島県鳴門市大麻町大谷に見える化け狸。「殿中」とは殿中羽織の略で木綿の袖なし羽織のことをいう。赤殿中は赤い殿中を着た子供に化けて通る人に背負ってくれとせがみ、背負ってやると背中で足をバタバタさせ、キャッキャッと喜ぶという。
日本 > 妖怪・その他  文献:24

アカナー
 
 沖縄における想像の生物。全身真っ赤な毛で覆われたサルのような姿をした生き物だという。夕焼けが赤いのはアカナーの家が燃えているからだとされる。
日本 > 沖縄  文献:19
キーワード:霊長類

垢舐め
あかなめ
 日本の妖怪の一種。「垢舐り(あかねぶり)」とも言う。風呂屋や荒れ果てた屋敷に住み、真夜中人気の無い頃に出現しては、風呂場にこびりついた人間の垢をペロペロ舐める。廃墟や古い風呂屋に溜まった塵や垢から生まれる妖怪で、風呂場が汚れている家ほど住み着きやすいという。足に一本の鉤爪を持つ散切り頭の醜い童子の姿をしている。
日本 > 妖怪・その他  文献:0324

アカマター
 
 沖縄において赤の黒の美しい縞の斑蛇を指す言葉。「マッタブ」とも呼ばれる。美男子に化けて村の娘を誘い子供を孕ませるという。アカマターは古い鍋蓋や壊れて捨てられたカカシの下などに棲むと考えられたため、鍋蓋を捨てる時は逆さにしたり、木の枝にかけて捨てる。奄美群島でもアカマターは女を孕ませるとされ、アカマターを見たら唾を三回吐いて追い出す。蛸はアカマターと化けた姿であり、アカマターが波打ち際で潮につかりながら自分の体を盛んに岩に打ち付けて、蛸に化ける様が良く見られるという。
日本 > 沖縄  文献:19
キーワード:蛇・龍・ドラゴン

アカ・マナフ
Aka Mana
 ゾロアスター教における悪魔の一人。名前は「悪しき思い」を意味する。6人のアメサ・スペンタに対抗する6人の悪魔の一人(ただし諸説あるせいで全員挙げると6人以上いる)。名前は「悪しき思い」を意味し、アカ・マナフに支配された人間は正邪善悪の区別が出来なくなるという。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:04

アガリアレプト
Agaliarept
 ユダヤの魔神で聖書などに登場する地獄の第2軍団の大将。世界中の多くの謎に通じ、それを暴露するという。とくに宮廷や議会の秘密に詳しいとされ、ブエルグーシオンブボティスを指揮下に置いている。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど

明かりなし蕎麦
あかりなしそば
 本所七不思議に数えられる怪異現象の一つ。「燈無蕎麦」とも書かれる、本所(現在の東京都墨田区南部)の南割下水にあったという明かりのついてない人気もしない蕎麦屋台のことで、誰かが気を利かしてその蕎麦屋の行灯に火を灯してもすぐ消えてしまう。さらにこうして火を灯した人の家では必ず不幸が起こったという。逆に「消えずの行灯」と呼ばれる、誰も油を足していないのに無人の蕎麦屋台でずっと消えずに燃え続ける行灯の話もある。
日本 > 妖怪・その他  文献:24

アガレス
Agares
 ユダヤの魔神で聖書などに登場する31個師団をその配下におさめる大公。「変化の公爵」の異名を持ち、地獄の東方を治める。かつては力天使であったとされる。弱々しい賢者の姿をしていて、手の甲に大鷹(またはカラス)をとまらせ、大きなワニ(または陸亀)に乗っている。声は老人のように震えているといわれる。未来を見通す力があるが、全てを謎めかして語り、しかも時々嘘を混ぜるため、その言葉は容易に信用できない。人間の行方を探る能力があり、また多くの言語を知っている。また、地震を起こす事ができるといわれる。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:030413

アカングァーマジムン
 
 沖縄に出現する妖怪の一種。赤ん坊の死霊で、アカングァーマジムンとは「赤ん坊の魔物」という意味。この妖怪に股をくぐられると死んでしまうという。このように股をくぐらせてはいけない妖怪は沖縄を含む南西諸島に多く見られ、カタキラウワなどもその一例である。
日本 > 沖縄  文献:0324

飽咋之宇斯能神
あきぐいうしのかみ
 古事記に見える神。日本書記にも同一神と思われる「開囓神(あきぐいのかみ)」の名が見える。黄泉の国から逃げ帰った伊邪那岐命が、身を清めようと禊をした時に化生した神の一人で、伊邪那岐命が投げ捨てた冠から生まれ出でたという(日本書記の開囓神は袴より成ったとされる)。名前はおそらく「開いて食う主の神」と言った意味で、冠の形状を名前にしたものと考えられる。
日本 > 記紀神話  文献:182122

アキス
AKis
 ローマ神話における河神で、ファウヌスとニンフであるシュマイティスの子。殺されたとき流れ出した血が河となった。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

阿耆尼 あぎに
Agni
アグニ火天

ア・キム
 
 ミクロネシア、パラオにおける創世神話に登場する、天に住んでいたシャコガイ、ウヘル・ア・ヤングヅによってい地上に下ろされ、ウヘル・ア・ヤングヅの代わりに二番目の神ラッツムギカイを生んだ。また、女陰が無く子供を埋めなかったラッツムギカイに自らのブレーデル(外套膜)を貸して子供を産ませた。
環太平洋 > ミクロネシア  文献:0226

ア・キンチル
Ah Kinchil
キニチ・アハウ

アグアーネ
Aguane
 イタリア北部とオーストリア・スラブ南部の国境付近に伝わる女の妖精。「アグアーナ(Aguana)」とも呼ばれる。たいていは人間と同じかそれより若干小柄、ヤギか馬の脚をして、毛皮を纏った長髪の美女の姿で現れるが、変身が出来るのでこの限りではない。小川と山の守り神であり、山にある川や池の水に入る時はアグアーネに許しを請わなければならない。これを無視し水を汚したいるところを見付けられた場合、水中に引きずり込まれたり、アグアーネの洞窟に連れて行かれ性的ないたずらをされる。場合によってはそのまま食べられてしまうこともある。ただ子供にはとても寛容で赤子を背におぶって、長く垂れ下がった乳を肩越しに回して授乳させるという。アグアーネの夫はシルヴァーニとして知られるが、シルヴァーニの女性形を「シルヴァーネ(Silvane)」とすることもある。
東・中央ヨーロッパ > その他  文献:42
キーワード:人頭獣身

アクゥイロー
Aquilo
 ローマ神話における北風の神。ギリシア神話のボレアスに相当する。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

アグウェ
Agwé
 ハイチのヴードゥー教における海の神。崇高な神であり、この神の棲むとされる海底の宮殿に貢物を捧げるために、信奉者は貢物が山ほど積まれた船を海に沈める。
北米 > 大西洋・カリブ海域 文献:48
キーワード:海・大洋・航海

アークエンジェル
Archangel
 ユダヤ教・キリスト教における天使の9階級のうちの第8階級。またエンジェルより上の位の天使すべてをアークエンジェルと呼ぶこともある。複数形で「アークエンジェルス(Archangels)」、日本では「大天使」と訳される。第8階級でありながら事実上の指揮官とされる四大天使(ミカエルガブリエルラファエルウリエル)を含む御前の七天使を擁する特殊な階級とされる。四大天使以外に大天使に含まれる天使は、旧約聖書偽典「エノク書」のギリシャ語写本によれば、ラグエルサラキエルレミエルとされているが、他にもサリエルメタトロンカマエルハニエルなどが候補に挙げられることもある。
ヨーロッパ全般 > キリスト教・ユダヤ教  文献:1213

アグディスティス
Agdistis
 プリュギア(小アジア地方、現在のトルコ共和国中央部)の大地の女神の一柱。両性具有で生まれた神で、キュベレと同一視される。ギリシア神話においてはゼウスがディンデュモン山で昼寝をしていたときにこぼれた彼の体液から生まれたとされる。アグディスティスは怪物視され、神々に酔わされるうちに性器を切り落とされてしまったが、この性器からはアーモンド(ないしザクロ)の樹が生えてきて、この実より妊娠した娘はアッティスを産み落としたという。
南ヨーロッパ > 小アジア  文献:07  文献:01

阿克的恩都立 アクドエンドゥリ
Ākèdìēndūlì
 中国の少数民族、鄂倫春(オロチョン)族における雷の神。鑿と槌を持っており、それを打つと雷鳴が起こるという。
東アジア > 中国少数民族  文献:02
キーワード:

アグニ
Aguni
 インド神話における火の神。アーリア人の拝火信仰を起源とする古い神だと考えられている。黄金の顎と歯、炎の頭髪、3〜7枚の舌を持つ姿で描かれ、火中に投じられた供物を好むという。天空地三界に顕現し、天上においては太陽と同一視され暗黒を駆逐し、空中においては電光としてひらめき、地界においては祭火として燃えるとされた。火中に投じられた供物を天上へと運ぶため、神と人との仲介者、または使者、賓客として、あるいはアグニ自身が優れた祭官として崇拝された。「リグ・ヴェーダ」において彼に捧げられた賛歌は全体の5分の1をしめる。後世、インドラヴァルナ、ヤマなどとともにローカパーラ(世界守護神)の一つとして崇拝され、南東に住むと見なされた。ゾロアスター教のアタールに相当する。また仏教に取り入れられ、「阿耆尼(あぎに)」ないし「火天(かてん)」と漢字に訳される。
インド亜大陸 > インド神話・ヒンズー教  文献:07
キーワード:

アグヌア
 
 南太平洋のソロモン諸島南東部において信じられている、すべての野菜や植物を作ったとされる蛇の神。ハトゥイブワリはアグヌアの別名とも、支配下にある神ともされる。
環太平洋 > メラネシア  文献:11
キーワード:花・植物・樹木蛇・龍・ドラゴン

アクパシャコ
Acpaxaco
 メキシコ盆地の北方から西方に住んでいた、オトミ族における水の神。アステカのチャルチウィトリクエに相当、ないし近似している。
中南米 > その他

アクラシエル
Akrasiel
ラグエル

アクリス
Achlis
 スカンジナビアの島に住むと考えられた想像上の動物。プリニウスの「博物誌」に記述がある。ヘラジカに似た草食動物だが、その身体的特徴にはいくつかの欠点があった。一つに上唇が異常に肥大化していること。このためにアクリスは後ずさりして無理やり口を開きながらでないと草を食べられなかった。また一つに後ろ足に関節が無いこと。この足はアクリスを俊足にしているが、しゃがんだら立ち上がることが容易ではなくなる為に、アクリスは木に寄りかかりながら寝なければならなかった。この習性は致命的なもので、猟師たちは前もってアクリスのお気に入りの木を見つけ、ノコギリで簡単に倒れるように切れ目を入れておくだけでアクリスを捕獲できた。なぜならばアクリスがこの木で休もうとした途端木は折れ、一度しゃがんでしまったアクリスは身動きが出来なくなってしまうからだ。
ヨーロッパ全般 > 伝承・その他  文献:0310

アグリポル
Aguriporu
 アラビア北部のパルミュラの月の神。鎌のような月を額、ないしは両肩に乗せている。名前は「ボルの雄牛」を意味すると考えられることもある。月は元来雄牛の角に見立てられていたらしい。
西アジア > 西アジア諸神話  文献:07
キーワード:

アケル
Aker
 エジプト神話において古くから信仰された大地の神の一人で地平線を象徴する。背中合わせに座る二匹のライオン、もしくはライオンか人間の頭が二つ付いた大地として表された。これらはいずれにしても地平線を表現したものであり、沈み行く太陽であるアトゥムアポピスから守る神と考えられた。
アフリカ > エジプト神話  文献:30
キーワード:猫・虎・ライオン

アーゴペルター
Argopelter
 アメリカの噂話やほら話を起源とする怪物、フィアサム・クリッターの一種。名前は「アルゴ船の(Argo)投擲器(pelter)」から来ているものと思われる。滅多に見ることができないので外見はっきりしない。森の中の木のうろに住んでおり、近くを通りかかった者に木片や枝を投げつけるという。それ以上何かをしたという記録は無い。
北米 > その他  文献:10

アサ
Æsir
 北欧神話において主要な神々が属する神族。総じて戦闘的な種族だとされる。本来は北欧の人々だけではなく、他のゲルマン民族からも崇拝されていた存在だと考えられている。「アサ」は複数形で、単数形では「アース」。世界の秩序が神格化された存在であり、多様な特質をもつ神々によって構成される。ヨツン(巨人)族の祖であるユミルとともに最初の生き物として生まれた牡牛アウドムラが、餌として舐めていた石から誕生したブーリという男を祖としている。ブーリの息子ボルを父とするオーディンを王とし、ヨツン族と常に敵対関係にあるが、この世が終わる時までは正面から戦うことはなく警戒的平和の中にある。人間はアサ神族によって創造されたといわれており、これによって古代北欧ではアサ神族は人間の保護者として崇拝されていた。またもう一つの神族である、ニョルズ率いるヴァナ神族とも対立関係にあり、両神族の間には激しい戦闘は繰り広げられたこともあったが、結局人質を交換して和解した。
北ヨーロッパ > 北欧神話  文献:0109

アサ
Asa
 アフリカのケニアのカンバ人における創造神。語義は「父」の意。他の部族でムルングと呼ばれる。霊達の上位に位置する主であり、慰めと生命維持の神でもある。天災による被害から自然の立ち直りの遅い時、或いは人間による援助が間に合わない時などに人間界に干渉し助けてくれるとされる。
アフリカ > アフリカ緒神話  文献:0148

アザゼル
Azazel, Azaziel Azael
 旧約聖書偽典、エチオピア語「エノク書」において、グリゴリの一員であり、統率者の一人だったとされている天使。「アサセル(Asasel)」、「アザエル(Azael)」などの名でも知られる。旧約聖書「レビ記」においては固有名詞としてではなく、悪魔を意味する一般名詞と同じように扱われている。「アザエル(Azael)」、「ハザゼル(Hazazel)」などの名でも呼ばれる。その名は「遠くへ去る」、「神の如き強き者」、「完全なる除去」、「荒野」、「山羊」などの意味がある。シェミハザコカビエルと共に人間の娘と結婚し神に反逆した。元々の起源はシリアの神だったと考えられている。人間の娘達に剣や盾などの戦争に使う武器の製造法や男性を誘惑するための化粧法を教えたとされている。アザゼルは神の軍勢に捕縛された後、オリオン座において逆さ吊りの刑に処されたとされる。この逸話がタロットカードの「吊られる男」の起源となったのではないかと考えられている。
 ユダヤの律法学者の間においては「アゼル(Azel)」と呼ばれ、神から魔術の秘密を盗み出しエヴァ(イヴ)に与えるという大罪を犯したと考えられた。イスラム教ではイブリースと同一視されアラーに反逆する悪魔と考えられた。
 堕天使(悪魔)としてのアザゼルは「地獄の君主」、「人間の誘惑者」、「羊の守護者」などと呼ばれる。また贖罪の日に生贄となる山羊を受け取る悪魔としても知られている。しばしばサタンと同一視され、7つの蛇頭と14の顔、12枚の翼を持ち、蛇にまたがった姿で表される。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ > キリスト教・ユダヤ教  文献:0304111213

足洗い屋敷
あしあらいやしき
 本所七不思議に数えられる怪異現象の一つ。「足洗邸」とも書く。本所の三笠町(現在の東京都墨田区亀沢)にあった旗本屋敷(小宮山左善或いは味野某の屋敷と伝わる)で起こった怪異で、夜中、天井からバリバリという音がしたかと思うと巨大な足が下りてくるというもの。この巨大な足は土や泥で汚れていて、丁寧に洗ってやると何もせず消えうせたが、おろそかに扱うと家を壊さんばかりに暴れたとされる。
日本 > 妖怪・その他  文献:24

阿遅偏:金+旁:且高日子根神
あじすきたかひこねのかみ
 日本記紀神話において、農業神とされる神。古事記では「阿遅偏:金+旁:且高日子根神(あじすきたかひこねのかみ)」、「阿遅志貴高日子根神(あじしきたかひこねのかみ)」、「阿治志貴高日子根~(あじしきたかひこねのかみ)」、または「迦の旧字体毛大御神(かものおおみかみ)」、日本書紀では「味耜高彦根神(あじすきたかひこねのかみ)」と表記される。さらに播磨国風土記では「阿遅須伎高日子尼命」、出雲国風土記では「阿遅須枳高日子命」、出雲国造神賀詞では「阿遅須伎高孫根命」と表記され、いずれも「あじすきたかひこねのみこと」と読む。「あじ(あぢ)」は美称、「すき」は単純に農具の耜(すき)か、あるいは磯城(しき=岩石を敷き詰めた祭場)の転訛と考えられる。
 大国主神多紀理毘売命との間に生まれた神。阿遅偏:金+旁:且高日子根神は穀霊神である天若日子とても親しく、彼が死んだ時も弔問に訪れたが、二人の顔恰好がとても似ていたために、その葬儀の場で死んだ天若日子が生き返ったと間違われた。阿遅偏:金+旁:且高日子根神は死んだ者と間違えられるという無礼に腹を立て、葬儀場を滅茶苦茶にして帰っていってしまった。この説話は二人の神格がとてもよく似ている、或いはもともと同一神だったということを暗示していると考えられる。また、生きている阿遅偏:金+旁:且高日子根神、死んだ天若日子という対象性は農業における秋には実り枯れて、春には芽吹き成長するというサイクルを象徴したものとも考えられる。
 鋤は春に田畑を耕し農地を開拓するという役割のほかに、昔は田の神を祀る時の呪具としても使われた。阿遅偏:金+旁:且高日子根神はもともとそういった鋤を御神体とする農業神であったとされる。また昔は鋤には雷神(水の神)が宿るとも考えられたので、阿遅偏:金+旁:且高日子根神は農業神であるとともに、雷神を呼ぶ力を持つ神、ないし雷神と同じ力を発揮できる神だと考えられるようになった。
 別名である「迦の旧字体毛大御神」の名の通り、賀茂上下社の祠官であった賀茂氏の祖であるが、現在は賀茂上下社では阿遅偏:金+旁:且高日子根神を祀っていない。ただ、「都都古和気神(つつこわけのかみ)」として都都古別神社に、「高賀茂大神(たかがものおおかみ)」として高鴨神社に祀られている。
日本 > 記紀神話  文献:18212223
キーワード:

アジ・ダハーカ
Aži Dahāka, Azi Dahaka, Azidahaka,
Azhi Dahaka, Aži Dahak
 古代ペルシアの民族宗教「ゾロアスター教」の聖典「アヴェスタ」に出てくる竜。悪神アンラ・マンユが生み出した、「苦痛」、「苦悩」、「死」を象徴する3つの頭が持ち、それぞれの頭には6つの目と三組の牙があるという。またその巨大な翼は天を覆い隠すといわれる。ただし、叙事詩「シャー・ナーメ」には首から二匹の蛇が出た人間に似た姿のものとして描かれている。バビロンにあるクリンタ城に住み、千の魔法を駆使してあらゆる悪をなし、炎の神アータルとも激しく戦った。その後、エータナオ(ファリードゥーンとも)という英雄が退治しようとしたが、英雄が剣を突き刺すと傷口からサソリ、トカゲ、カエルなどの有害な無数の生き物が這い出したため殺すことが出来ず、捕縛してダマーヴァンド山に幽閉したという(幽閉したのはアータルだともされる)。しかしやがてアジ・ダハーカは鎖を千切り自由の身となって世界を荒らすとされている。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:03040711
キーワード:死・冥界

アシトマ
 
 アイヌ民族における妖怪の総称。語義は「ア(私達が)」+「シトマ(恐れる)」+「(者)」といった意。
日本 > アイヌ  文献:24

足名椎
あしなづち
 日本記紀神話に登場する男神。配偶神である手名椎とともに櫛名田比売の親神。また大山津見神の子神の一人。「古事記」では「足名椎(あしなづち)」、「日本書紀」では同訓で「脚摩乳」と表記される。名前は「足を撫で慈しむ」といった意と考えられる。もともと足名椎らの夫婦神には櫛名田比売を含め娘が八人いたが、毎年やってくる大蛇八岐大蛇に一人ずつ食べられてしまい、とうとう櫛名田比売一人になってしまった。彼らはそこへ来た須佐之男命に訳を話し、八岐大蛇を退治してもらった。その後、古事記によれば足名椎は須佐之男命から「稲田宮主須賀之八耳神(いなだのみやぬしすがのやつみみのかみ)」という名を賜り須賀の宮の首(おびと=首長のこと)を任されることになったという(日本書紀では手名椎とともに「稲田宮主神(いなだみやぬしのかみ)」の名を賜ったとされる)。
日本 > 記紀神話  文献:15182122

葦原醜男神
あしはらしこおのかみ
大国主神

アシペンサー
Acipenser
 15,6世紀のヨーロッパの旅行家よって伝えられた、ヨーロッパ北方の海に生息するとされた怪魚。普通の魚と異なり鱗が尾から頭に向かって生えているためにうまく泳げない魚だという。チョウザメを誇張して表現したものだと考えられる。
ヨーロッパ全般 > 伝承・その他  文献:10
キーワード:魚類

アシャ・ヴァヒシュタ
Asha Vahishta
 ゾロアスター教における大天使のような存在「アメサ・スペンタ」の一員。「アサ・ヴァヒシュタ(Asa Vahista)」、「アサ(Asa)」、「アシャ(Asha)」とも。名前は「天の掟」を意味する。正義と火と太陽を司るとされる。経典「アヴェスター」においては「最善なる者」と呼ばれ、正義と清潔を司る存在として特に虚偽の悪魔ドルジと敵対する。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:01111340 キーワード:

如来 あしゅくにょらい
Akobhya
 仏教における如来の一尊。名前はサンスクリット名である「アクショーブヤ」を音写したもの。他に「阿仏(あしゅくぶつ)」、「阿婆(あしゅくば)」などの名前でも呼ばれる。この名前には「振動せられざる者」、「ゆるぎない者」といった意味がある。はるか過去に大日如来の教化を受けた一人で、悟りをひらいたあとも東方善快浄土で今なお説法を続けている仏だとされる。その菩提心が揺ぎ無く堅固であることから阿如来と呼ばれる。五智如来の一尊として「大円鏡智(心を鏡にし全てのものを写し取る智恵)」を象徴し、金剛界曼荼羅では東方に配されるので、胎蔵界曼荼羅で同じように東方に配される宝幢如来と同体とされることがある。後期密教では大日如来の代わりに五仏の中心にすえることもあった。その像形は無冠で、左手で衣の端を握り、右手は伏せて五指を伸ばし地に付ける触地印を結ぶ。
インド亜大陸 > 仏教  文献:0234444647

アシュビン(双神)
Asvin
 インドのリグ・ヴェーダに書かれた神。それぞれ「ナーサティヤ(Nasatya)」、「ダスラ(Dasra)」という名前持つ双子の神格とされているが、個々の神格や職能が述べられることはなく、常にニ神一体で描写される。名前は「馬を御するもの」を意味するが、馬とアシュビン双神と関連を今となっては不明である。ビバスバットとサラニウーの子神で、神々と人間との橋渡しをする神であり、しばしば人間の味方をする。彼らは病人や不幸な人と共に行動しこれを助けていた。神々の目にはこれがよく映らず、アシュビンらは天上界から拒絶されていた。しかし彼らの力で若返りを果たしたチャヴァナ仙がそのお礼にインドラに口を利いてアシュビンらを天上界に入れるように説得したという。若く美しく聡明で、病気にかかった者は神であろうが人であろうが分け隔てなく癒す治療の神とされる。蜜を特に好み、多量の蜜を馬のひずめから注ぐといわれる。双神の乗る車は蜜色で、蜜を運び、鳥または有翼の馬に引かれている。彼らは太陽の娘スーリヤと親密で、人々を厄災から救い、優れた医術をふるう。彼らは早朝に出現するという。
 彼らはもともと太陽神として信仰されていたが、ウシャスプ−シャンといった他の太陽神と比べて、太陽のどういった面が神格された存在だったかは不明瞭である。
インド亜大陸 > インド神話・ヒンズー教  文献:07
キーワード:治癒・医療

阿修羅 あしゅら
Asura
 インド神話における超自然的種族であるアスラ、ひいてはゾロアスター教の最高神アフラ・マズダが仏教に取り込まれ音訳されたもの。略して「修羅(しゅら)」とも称する。また意味から「非天(ひてん)」、「不端正(ふたんせい)」などとも漢訳する。「非天」、つまり「部にあらざる者」であり、帝釈天と戦う悪神とされるが、一方で仏法を護る天竜八部の一部を担うともされる。また胎蔵界曼荼羅では外金剛部院(最外院)に配される。
インド亜大陸 > 仏教

アジョク
Ajok
 アフリカのナイル川上流(スーダンなど)に住むロトゥコ人の信仰に登場する天空神。「アデョク(Adyok)」、「ナイジョク(Naijok)」とも呼ばれる。アジョクは慈悲深い神だが、その慈悲は継続的な生贄と祈りを必要とするものと考えられている。死んだ人間を蘇らせる力を持っているが、かつてその力を使ったせいで人間の家族に不和を起こしたので、アジョクは二度と死んだ人間を蘇らせなくなった。
アフリカ > アフリカ緒神話  文献:0148

阿嬌魯 アジョル
Ājiāolǔ
 中国の少数民族、鄂倫春(オロチョン)族における祖先神。氏族の祖先が死後に神となったもので、人間、家畜、農作物などを守護する。人間の前に直接現れることなく、シャーマンを死者として交流するという。
東アジア > 中国少数民族  文献:02

アシラ
Ashrah, Aţrt, Ašerat
 アシラトとも「海の貴婦人」とも呼ばれる、カナアンの女神。バールなどの多くの神々の母であり、大后でもある。生まれたばかりの神々は、彼女の乳を吸って育つ。
 ユダヤでは魔神とされ、バールとよく対になって出てくる。
西アジア > フェニキア神話・カナン神話
キーワード:海・大洋・航海

アース
Áss
アサ

アズ=イ=ウ=グム=キ=ムク=ティ
Az-i-wû-gûm-ki-mukh-ťi
 ヨーロッパ人の旅行家、E=W=ネルソンがグリーンランドの動物相について著した本(1899)の中で言及している生物。それによれば、イヌイットの信仰と伝承に残る生物で、セイウチに似ているが頭と四本の足は犬のものであり、輝く黒い鱗に覆われ巨大な魚の尾を有すという。この尾で殴られると人間は即死してしまう。ネルソンはこの生物のことを「セイウチ犬」と呼んだ。
ヨーロッパ全般 > 伝承・その他  文献:10
キーワード:犬・狼

アス=イガ
As-Iga
 シベリアのオスチャク族における、親切な精霊。名は「オブの古老」を意味する。オブとはシベリアを貫いて流れる大河の名前。
東アジア > シベリア  文献:11

アスカトル
Azcatl
 アステカにおいて神ではないが、神話に登場し、ケツァルコアトルを案内する役を担う赤蟻。アステカ神話では第5の太陽の時代(現在の世界)、新しく人類が創造されたあと、神々の次の仕事は新しい人類に食料を与えることだった。偶然トウモロコシ(メイズ)の種を担いで走っていたアスカトルを見つけたケツァルコアトルは、どこにそんな素晴らしい食料があるのかとアスカトルに尋ねるが、アスカトルは答えたがらなかった。しかしケツァルコアトルの嫌がらせと脅しに負けたアスカトルは、ついには食料のある場所───トナカテペトル(Tonacatepétl 「食料の山」の意)───を白状し、ケツァルコアトルをその山へ案内する。その後トナカテペトルはナナウアツィンの提案によって、4方位の風と雨の神、そして4人のトラロケによって分割され、植物の種は風によって四方の大地にばら撒かれた。
中南米 > アステカ神話
キーワード:食物・穀物・台所虫類

アスガヤ・ギガゲイ
Asgaya Gigagei
 ネイティブアメリカンの一部族、北米の北東部に住むチェロキー族に伝わる雷神。名前は「赤い人」を意味する。
北米 > ネイティブアメリカン  文献:48
キーワード:

アースメーカー
Earth Maker(s)
 →大地を造った者(アパッチ族)
 →大地を造った者(ミドゥ族)

小豆洗い
あずきあらい
 日本の妖怪で小川などに住み着く。「小豆磨ぎ(あずきとぎ)」、「小豆摺り(あずきすり)」、「小豆しゃらしゃら」、「小豆ごしゃごしゃ」など地方によって多彩な名前がある。シャカシャカとまるで小豆を洗うような音を出すが一向に姿は見えない。小さな老人とも老婆の姿をしているとも言われる。音だけなので害はないが、正体を突き止めようとした者はからかわれて河に落とされる。また、地方によっては「小豆磨ごうか人とって喰おうか」などと物騒な事も言う。
日本 > 妖怪・その他  文献:0324

アスタルテ
Astarte, Astarete
 カナアンやフェニキアに伝えられる古代セム族の豊饒と生殖の女神。バビロニアの神であるイシュタルイナンナに由来する神と考えられている。或いはフェニキアにおける万能の母神「アストローチェ(Astroache)」を起源とするという説もある。神名は「子宮」あるいは「子宮から生まれる者」といった意味だと考えられている。バールの配偶神で頭に三日月型の角をつけた姿や、牡牛の頭をした女性の姿で表される。
 アスタルテはエジプトの神話体系にも取り込まれ、ファラオとファラオの乗る戦車を守護する神とされる。セトの妻でありセクメトと同一視される。エジプト神話の中でアスタルテは潮の流れに巻き込まれて溺れそうになっているところをエジプトの神々に助けられ、プターの養女として迎えられたとされている。また一方でハトホルとも同一視されるためレーの娘ともされる。
西アジア > フェニキア・カナン神話  文献:0107
キーワード:獣頭人身

アスタロス
Astaroth, Ashtart, Astarte, Ashtaroth,Astoreth, Asteroth,Astarath, Ashteroth,Ashtoroth, Astorath, Asthoreth, Ishtar, Aphrodite
 ユダヤの魔神の一人。その起源は古代セム族の豊饒と生殖の女神であるアスタルテ(Astarte)や、バビロニアの美の女神イシュタル(Ishtar)にあるといわれている。「恐怖公」「地獄の大公」等の異名をとり、また元々座天使であったという説から「座天使の公子」等とも呼ばれる。その姿は唇を血で濡らした全身黒ずくめの黒い天使で、右手には毒蛇を持ち、地獄の龍(または蛇)にまたがっているという。過去と未来を見通す力があり、まるで自分は堕落していないかのように天使たちが天から落とされた時の事を語る。常に安楽に過ごし、安逸をむさぼる事を好み人を怠惰に導く。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:03041213

アストー・ウィーザートゥ
Asto Vidatu
 古代ペルシアの死神。もともとは「アストー・ヴィダーツ」と発音した。名前は「肉体の粉砕者」という意味を持つ。最初は子悪魔だったが後に誰も逃れ得ぬ死の神となった。ゾロアスター教では「アストー・ウィーザートゥ」と呼ばれ、あらゆる人間にとって避けられぬ「死」を司る、比類なく強力な悪魔だとされた。全ての人間を死に引きずり込む為に虎視眈々と狙っており、母親の胎内の赤子ですらこれは例外ではない。流産が起こるのもこの悪魔のせいだとされている。民間伝承によれば、この魔物は投げ縄が大層上手で、この世に生まれた全ての人の首に縄をかける。人が死ぬと、善人の首の縄は外れるが、悪人は縄を引かれて地獄に堕ちるという。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:04
キーワード:死・冥界

アストー・ヴィダーツ
Asto Vidatu
アストー・ウィーザートゥ

阿須波神
あすはのかみ
 日本の民俗信仰において古くから足元と旅を守護するとされてきた神。本居宣長の「古事記伝」によれば、阿須波神は大年神天知迦流美豆比売神の間に生まれた神で、その名前は「足場」の意味が篭められており、「足で踏んで立つ場所」を守る神だとしている。古くは旅立ちのことを「鹿島立ち」といったが、これは防人(さきもり)や武士が旅立ちの際、鹿島の阿須波明神に祈りをささげたことに基づくという説がある。
日本 > 日本民俗信仰  文献:18

アスピス
Aspis (pl. Aspises)
 中世ヨーロッパの伝説・伝承に登場するドラゴン型の怪物。文献によって翼の有無が分かれるが、いずれにしろ小型で60cm程しかない。その体に触れただけで生死に関わるほどの猛毒を持っており、一度噛まれればどんな生物であろうと即死してしまうという。ただ、アスピスは音楽がめっぽう苦手であり、音楽を聞かせると地面と自分の尾を使って耳をふさごうとする(つまり横倒しになる)。この状態に持ち込めば人間でもやすやすと逃げることができる。
ヨーロッパ全般 > 伝承・その他  文献:10

アスピドケロン
Aspidochelon
 古代ヨーロッパの旅人や船乗りに伝わる海の怪物の一つ。「アスピドデロン」とも呼ばれる。名前はギリシア語で「蛇亀」の意。ラテン語では「ファスティド・カロン」、中東では「ザラタン」と呼ばれた。途方も無い大きさの亀で、その巨大な甲羅の上には槌が積もり木や草が生い茂っていて、まさしく海上に浮かぶ島のようであったという。アスピドケロンは口から甘い匂いを発して魚をおびき寄せて食っているという。生き物と知らずにアスピドケロンに「上陸」した船乗り達が甲羅の上で焚き火をした途端、アスピドケロンは叫び、のたうって船や船乗り達を道連れにものすごい勢いで海中深く潜ってしまう。聖書のヨナを飲み込んだ魚や中世キリスト教における地獄の入り口の描写は、この怪物がモデルになっていると考えられている。
ヨーロッパ全般 > 伝承・その他  文献:0310
キーワード:海・大洋・航海亀・蛙・トカゲ・ワニ

アスピドデロン
Aspidodelon
アスピドケロン

アスマン
Asuman
 西アフリカ一帯の部族で共通して信仰されている創造神オニャンコポンの下位にいる低級神。木々や動物、魔除けなどを活性化する。
アフリカ > アフリカ緒神話  文献:01

アスモデウス
Asmodeus
 ユダヤ教のタルムード文献などに見られる悪魔。「アシュモダイ(Ashmodai)」、「アスモデ(Asmodee)」、「カマダイ(Chammaday)」、「シュドナイ(Sydoney)」などの別名がある。ペルシアの魔神アエシュマが元となっている。「悪魔の頭」、「魔神王」、「剣の王」等と呼ばれ、配下に多くの魔神を従えている。その顔は炎のように燃えており、天を駆けるための翼をもっている以外は、ほぼ人間と同じ容姿をしている。未来を見通して人の定めを知ったり、大地を見通して宝石や貴金属のありかを知る事ができ、また様々なものに変身する能力をもっているといわれる。夫婦の仲を邪魔し不和や嫉妬心を生じさせる。天界では熾天使であったとも言われている。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。旧約聖書外典「トビト書」では好色な悪魔として描かれ、大天使ラファエルに撃退される。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:0304111213

アスラ
Asura
 古代インド神話に登場する超自然的な種族の総称。名前は「神でないもの」あるいは「整っていない(醜い)もの」といった意味を持っている。神々たるデーヴァ族に対抗する種族とされるが必ずしも悪魔のような存在とはされない。ヒンドゥー教の聖典「ヴィシュヌ・プラーナ」ではブラフマーの太ももから生まれたとされる。また祭儀書「シャタパタ・ブラーフマナ」ではデーヴァとともに創造主プラジャーパティから生まれたが、デーヴァが真実を追求する道をとったのに対し、アスラは虚偽の道を選んだとされる。両種族は互いにいがみ合っているが、場合によってはいやいやながら手を組むこともある。例えば霊薬アムリタを手に入れるときなど、両種族は協力して天海を攪拌した。代表的なアスラとして、アガースラジャランダラハヤグリーヴァなどがいる。アスラは仏教に取り込まれ、日本や中国などでは「阿修羅」と称される。
インド亜大陸 > インド神話・ヒンズー教  文献:0711

アスレイ
Aarai
 イングランドのチェシア地方、シュロップシア地方の伝承に見える小人の水の精霊。緑色の長い髪と水かきのある足を持つ美しい女性の姿をしているとされる。アスレイ達は水から離れると水になってしまうため、捕まえてたりといった行為は徒労に終わる。またアスレイに触れた部分はみみずばれのようなあざになり一生消えないとされる。スコットランドにも「アズレイ(Asrais)」もしくは「アシュライ(Ashrays)」と呼ばれる同じような水の精が伝わっている。
西ヨーロッパ > イングランド伝承  文献:1142
キーワード:湖沼・河川

アタエンシク
Ataensic
 ネイティブアメリカンの一部族、イロコイ族における地母神、あるいは天空の女神。善なる者ハーグウェーディユと悪なる者ハーグウェーダエトガーの双子を生んだ後死んだとされる。母アタエンシクの死後ハーグウェーディユはその亡骸から世界を創造したという。
北米 > ネイティブアメリカン  文献:48

安宅丸
あたけまる
 日本に伝わる生きた軍艦。「阿宅丸」、「阿武丸」とも書く。寛永12年(1635)に将軍徳川家光が造らせた水夫200人を擁す47メートルほどの大型軍艦だった。志の低い者や罪人などが入船しようと看板に踏み込むとうなり声をあげ威嚇し乗船拒否をしたといわれる。後に江戸の深川御船蔵に入れられていたが、夜な夜な「伊豆に行こう伊豆に行こう」と泣きながらうなり、とうとう嵐の晩に勝手に動いて伊豆に向かおうとした。結局神奈川県の三浦半島の三崎沖で拿捕されその後解体されたとされる。伊豆は安宅丸が造船されたところだった(三浦で造られたので三浦に向かっていたという説もある)。この話から、だだをこねる人を「安宅丸」と揶揄する。安宅丸の霊を鎮めるための塚が安宅町(現江東区)に築かれたとされるが現在は残っていない。また安宅丸の廃材を買って穴倉の蓋に使った家の妻に安宅丸の霊が憑き、狂ってしまったという話も残っている(しかし安宅丸は解体後焼却されたという話もある)。
日本 > 妖怪・その他  文献:24

アダド
Adad
 バビロニア・アッシリア神話における、パンテオンの偉大な気象神。風の神エンリルが地上界の神になったとき、そのかわりに雷雨の支配権を握った。アダドは二つの性格、即ち雨風によって肥沃をもたらす豊穣神としての性格と、暴風雨、雷、洪水によって自然を破壊し、暗黒と死をもたらす神の性格を持つ。また、それらの性格からシャマシュとともに未来を喚起する特権をもつ託宣の神としても崇拝された。天神アヌの息子あるいは大地の神ベルの息子と呼ばれる。聖動物は雄牛とライオン、シンボルは糸杉、雄牛の背に乗り、片手に稲妻を持つ形で表現される。
西アジア > アッシリア・バビロニア  文献:0107
キーワード:

アタール
Atar
 もしくは「アータル」とも。ゾロアスター教において火を司る神霊。「アードゥル(Adur)」、「アーダル(Adar)」とも呼ばれる。ヒンドゥー教の火の神アグニがその元であるとされる。火を崇高のものとするゾロアスター教で数多くの天使や精霊の中でも力が強く善なるものとされた。「崇拝に値する者達」ヤザタの一人で、アフラ・マズダの息子といわれる。人間に安楽と知恵をもたらし、世界を邪悪から守るといわれていた。勇敢な戦士だとも言われており、賛歌「ザムヤード・ヤシュト」においては「クワルナフ(光輪)」を手に入れるために悪竜アジ・ダハーカと激しい戦いを繰り広げたとされる。稲妻であるとも考えられ、雨を降らせないことで旱魃を起こそうとした悪魔を退治したとも言われている。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:030740
キーワード:戦争・闘争

アタルガティス
Atargatis
 古代シリアにおける大女神。豊穣を司り、魚およびほとと結びつきが深く、上半身は人間の女、下半身は魚の形で表されることもあった。シリアにおいてもっとも信仰されていた神と言われる。また、ハダトという夫の神がいたとされる。
西アジア > 西アジア諸神話  文献:01
キーワード:魚類

アダロ
Adaro
 ポリネシアやメラネシアにおいて、普遍的に信じられている海の精霊。人間に魚の尾、イッカクのような角が生えた姿をしている。また耳の後ろにはエラがあるとされる。有毒なトビウオの群れを引き連れていて、海に出た虹を渡って旅をしているとされる。水中の縄張りを侵した人間は容赦なく殺す。
環太平洋 > 伝承・その他  文献:1042
キーワード:海・大洋・航海

アーチェ
Aatxe
 フランス南西部やスペイン北西部に住むバスク人における邪悪な精霊。「エツァイ(Etsai)」とも呼ばれる。名前は「若い牡牛」を意味する。牡牛の姿で現われることが多いが、変身できるので人間の姿で現われることもある。山にある洞窟に住んでいて、嵐の夜だけ出てきて周囲に大惨事を引き起こすとされる。
南ヨーロッパ > スペイン・ポルトガル  文献:11
キーワード:

ア・チクン・エク
Ah Chicum Ek
シャメン・エク

アヅイコシンプク
 
 アイヌにおける人魚のこと。名前は「海のコシンプ(妖精)」といった意味なので、アザラシなどの海棲生物が女に化けたものことと思われる。アイヌでは人魚を他にアイヌソッキと言う。
日本 > アイヌ  文献:24

アツィナ
 
アッコロカムイ

アツゥイカクラ
 
 アイヌ民俗において海に住む化け物の一種。内浦湾に住む巨大なナマコで流木に口で吸い付いて海に浮かび、近づく船をひっくり返す。川から流れてきた女のモウル(肌着)が変化したものだという。内浦湾には他にもアッコロカムイレブンエカシなどの化け物が棲んでいるとされる。
日本 > アイヌ  文献:24
キーワード:海・大洋・航海魚類

アツカムイ
 
 アイヌに信じられていたカムイの一人でモモンガを顕現体とする。名前は「多く産むカムイ」を意味する。モモンガは一回で三匹から五匹ほどの子を産むが、アイヌではモモンガは鳥の一種とされ、一回で30匹もの子供を産むと信じられていた。このためアイヌでは妻に子供がなかなか生まれないとき、モモンガの肉を夫が妻に食べさせるという習慣があった。ただしこれが妻にばれると多産の効力を失うだけでなく、全く子供を身篭らなくなってしまうとされたため、夫はモモンガの肉だとばれないように他の鳥の肉と一緒に食べさせたという。
日本 > アイヌ  文献:02

アッカ・ラーレンティア
Acca Larentia
 イタリアにおける大地の女神。12月23日のラーレンタリア祭の主神。元はローマの遊女だったといわれる。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

アッコロカムイ
 
 アイヌに伝わる妖怪。「アツィナ」(海の木幣)とも言う。北海道の内浦湾(噴火湾)に住むという大蛸。1ヘクタールほどの大きさでで、通りかかる漁船を襲ったという。アッコロカムイのいるところは体の赤い色が海面に反射して遠くからでも分かったという。また一説には巨大魚とされるが、その場合でも特徴は変わらない。一説には礼文華(豊浦町)の山にいた大蜘蛛ヤウシケプが海に入ってアッコロカムイになったとされる。蛸と蜘蛛の足の数から派生した伝説かもしれない。
日本 > アイヌ  文献:0224
キーワード:海・大洋・航海

アッシュル
Assur, Ashur
 バビロニア神話における軍神。アッシリアの国家神でまた、首都アッシュールの守護神。マルドゥクエンリルの役割を引き継いだ神であり、マルドゥクの好戦性とエンリルの治癒力をあわせ持つ。また彼の名は「慈悲深き者」を意味し、豊穣肥沃の神として棕櫚(しゅろ)の枝で囲まれた姿で表される。また軍神としてのアッシュルは矢を放つべく張られた弓を取り囲んだ翼のある円盤の形か、牛にのり空を行く姿で表された。なお時代と地域により数々の異名を持つ。アンシャルと同一視される。
西アジア > アッシリア・バビロニア  文献:01
キーワード:戦争・闘争治癒・医療

アッタル
Attar
 イスラム教以前の時代にアラビア半島南部で崇拝された神。戦いの神で、「大胆に戦う者」と呼ばれることが多い。シンボルの一つに槍の穂先がある。アッタルの聖なる動物はアンテロープ(カモシカ)である。金星を支配する力があるとされており、人類に水をもたらす神と考えられていた。
西アジア > フェニキア・カナン神話  文献:01
キーワード:戦争・闘争星・惑星

アッティス
Attis
 小アジアのプリュギアにおける神でキュベレの夫神。神々に去勢されたアグディスティスの性器からアーモンドないしザクロの実が生え、それにより妊娠した川の神の娘、ナナの子とされる。アッティスは恋人であったキュベレがいるにも関わらず不貞を働いたため、キュベレにより正気を失わされ、自らを去勢して死んでしまった(別の伝承ではあるいはキュベレと引き離されたため絶望して去勢した)。その血に触れた草木は異常な速さで成長したとされる。のちにキュベレはアッティスを生き返らせ、二人は結ばれたという。
植物の生成を司る神であり、毎年三月の終わりになるとアッティスを祀る五日間の祭りが催された。この祭りの中でキュベレの神官達はアッティスに倣い自らを去勢しその血をアッティスの像に撒いた。
南ヨーロッパ > 小アジア  文献:0107
キーワード:花・植物・樹木

アッハーズ
Akhkhazzu
 古代シュメール、バビロニアにおける悪霊エディンムの一種。病気の精霊で、特に人間を黄疸にかからせる悪霊とされる。
西アジア > アッシリア・バビロニア  文献:11
キーワード:病気

アップルツリーマン
Apple-tree Man
 コーンウォール、デヴォン、サマセットといったイングランド東部の民間伝承にみえる林檎園の主の精霊。リンゴ園の一番古い林檎の木に棲んでいるとされる。その果樹園の全てを熟知しており、毎日良い行いをしている人を助けるという。ただし、アドバイスは声だけで姿はわからない。ある昔話では、財産を少しも貰えなかったものの毎日真面目に働いた長男に、クリスマスイブの夜に宝物の在り処を教えたとされる。その家の末っ子は全財産を受け継いだが、毎日遊んでいたので、家畜たちが彼について喋る悪口だけを聞かされたという。昔から毎年、公現祭の前日である1月5日にアップルツリーマンの棲んでいる木の前で宴を開くことが習慣となっている。
西ヨーロッパ > イングランド伝承  文献:0311
キーワード:食物・穀物・台所

偏:犭+旁:契 冠:穴+脚:瓜x2 あつゆ
Yà-yǔ
 カツ:不明,窳(ユ):Unicode7AB3
 中国神話における怪物の一種。「冠:穴+中:丯+刀+脚:大冠:穴+脚:瓜x2」とも書く。もとは天神だったが、天神である弐負(じふ)とその臣下の危(き)に殺され、怪物と化したとされる。地理書「山海経」によれば「少咸」と呼ばれるに住む牛のような姿の獣で、赤い体で人面・馬足、赤ん坊のような声で鳴き人を食べるという。他にも人面竜身だとか、狸に似た獣だとか、竜頭虎身で馬の尾を持つ巨大な怪物だとか、文献によってその姿には様々な説があるが、人を食うという点は共通している。怪物と化した冠:穴+中:(丯+刀)+脚:大冠:穴+
脚:瓜x2は五帝の一人であるの統治していた時代に猛威を振るったが、弓の名手であった弓の名手であった冠:(羽の旧字体)+脚:廾によって殺されたという。
東アジア > 中国神話  文献:030435
キーワード:食人人頭獣身

アッラー
Allah
アラー

アッロケン
Allocen
 ユダヤの魔神。「戦士公」などと称される地獄の大公の一人。獅子の顔をした戦士で、肌は赤い黄金のように光り、輝く鎧に身を包んで、巨大な戦車に乗っている。荒野にとどろく荒々しい声を発し、その燃える瞳を覗き込んだものは自分の死に様が見え、そのショックでしばらく眼が見えなくなるという。占星術、文法、論理学、修辞学、算数、幾何学、天文、音楽などの各種文芸に通じているとされる。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:0304
キーワード:音楽・舞踊獣頭人身猫・虎・ライオン

アテア
Atea
 ポリネシア東部のツアモツ諸島における天空神および原初の神。アテアにはファアホトゥ(Fakahotu)という妻がいたが二人の間に生まれた子供はファアホトゥが授乳するたび死んでしまうので、二人は性を交換しアテアは両性をもつ神になった。その後殺そうとしたタネ(=タネ・マフタ)に逆に殺されたとも、自らを分離しランギ(=ランギ・ヌイ)とパパ(=パパ・ツ・ア・ヌク)になったともされる。ツアモツ諸島の王家の一つはアテアの子孫を自称する。クック諸島にあるマンガイア島ではヴァテアと呼ばれる。
環太平洋 > ポリネシア  文献:02

アーディティ
Aditi
 インド神話においてアーディティヤ神群の母とされる「母性」、「無限」などを象徴する女神。「A-diti」は無拘束、無限を意味する。「リグ・ヴェーダ」で彼女に捧げられる独立賛歌は3詩節のみである。ちなみにアーディティヤ神群とは、ヴァルナミトラを首長として、アリアマン(歓待)、バガ(分配、幸運)、アンシャ(配当)、ダクシャ(意力)などを含む12神のことである。アーディティは子神や配偶神に多数の異なった記述が見られる。例えば配偶神はブラフマーや聖仙カシュヤパとされ、子神としてアーディティヤ神群の他にヴィシュヌを生んだとされる。ブラフマーとの間にダクシャを生んだが、ダクシャはアーディティを生んだという。
インド亜大陸 > インド神話・ヒンズー教  文献:07

阿丁博児 アディンボル
Ādīngbóér
 中国の少数民族、鄂倫春(オロチョン)族における風の神。
東アジア > 中国少数民族  文献:02

アテン
Aten
 「アトン」とも。エジプトの太陽の神。Atonとは「太陽の円盤」を意味する。エジプト第18王朝のアメンヘテプ4世(在位前1352〜36)は世界最古の宗教改革者として従来の他の神々への信仰、特にアモンへの信仰を禁じ、アテン宗教のみを公式の宗教として認めた。そして自らの名をアメンヘテプ(「アモンは満足する」の意)からアクエンアテン(「アテンの栄光」の意)へと改めた。アテンは元々太陽円盤を頭部に頂いた隼、もしくは隼の頭部を持った人間の姿をしていたが、唯一神とはってからは巨大な赤い日輪と、そこから伸びる先端が手の形をした光線とであらわされるようになった。この光線はアテンの美しさを王にまで及ぼすものと考えられた。アテンはラーを起源とする神と考えられる。
アフリカ > エジプト神話  文献:0730

アトゥア
Atua
 ニュージーランドのマオリ族において、目に見えない超自然的な存在に対する総称。動物や虫などの姿をとって人間の目に見えるようになった状態では「アリアー(Ariā)」の名前で呼ばれ、マオリの人々に恐れられている。ほとんどのアトゥアは人間に敵意を持っており、特定の人間や特定の部位に病気や痛みといった悪影響を引き起ことされる。
環太平洋 > ポリネシア  文献:11

アトゥイコカムイ
 
 (特にサハリンの)アイヌ民族においてシャチの姿で顕現するカムイ(時に鯨が顕現体ともされる)。語義は「海を領有するカムイ」で、アイヌにおいて重要な資源となった鯨を提供するカムイとされた。
日本 > アイヌ  文献:02
キーワード:海・大洋・航海魚類

アトゥム
Atum
 エジプト神話に数多く登場する太陽神の一人。二重王冠をかぶりアンクとウアス笏をもった人間の姿、もしく雄羊の頭部を持つ男性などの姿で表される。原初の混沌の海であるヌンから自らを誕生させ、その後神々を生み出したとされる。アトゥムは誕生したとき生命と復活の象徴である蛇の姿をとって生まれたが、世界が破滅する時もやはり蛇の姿をとりヌンへと還るとされた。アトゥムはこうした神々の始祖、創造神としての性格の他に、また太陽神としても信仰もあった。太陽の船によって運航される太陽は、レーケペラアウフといった様々な姿をとって毎日空を循環しているが、アトゥムはその中で沈む太陽の役割を与えられた。これは恐らくアトゥムは太陽神の中でも特に古くから信仰されていたことを示す。太陽神を象徴するベンベン石は元々彼を象徴するものであり、アトゥムはベンベン石の上に立って世界を照らしているとされたが、この役目は後にレーはアモンにとって変わられた。
 自らを生み出しなおかつ一人で神々をも生み出したアトゥムは両性具有であると考えられたが、後世に至ると男性神として信仰されるようになり、妻としてイウサーアス、ヘテベトといった女神を与えられることとなった。ただし、これらの女神はあくまでもアトゥムの一部分、つまりアトゥムが自分の手を切り離して女神としたものであり、単一神としては扱われなかった。
アフリカ > エジプト神話  文献:30
キーワード:太陽獣頭人身

アドゥロア
Adroa
 東アフリカのザイール共和国とウガンダ共和国とにまたがる地域に住むルグバラ人の信仰する神。アドゥロアには「アドゥロア(天空神)」と「アドゥロ(地上神)」という相対する二面性を持っている。天空神アドゥロアは超越的で人間から遠く、オニル(onyiru="善")であるが、地上神アドゥロは親近的で人間に近くオンジ(onzi="悪")である。かつてはアドゥロを鎮めるために人間の子供が生贄としてささげられていた(1930年代からは雄羊がささげられるようになった)。アドゥロア=アドゥロはすべての源泉であり、ルグハラ人の祖先を通して彼らに社会秩序を制定したとされるが、ルグハラ人の祖先とアドゥロアに関する伝承は残っておらず、ただ「我々は祖先を忘れ、雄羊を山々へと送る」という言葉が残っている。アドゥロアは遠い存在であるためその姿について語られないが、アドゥロに関しては人間が二つ持つべきものを一つしかもってない姿────つまり、一つ目で耳も腕も足も一つしかない半身の姿をしており、死期の近い人には見えるとされる。
アフリカ > アフリカ緒神話  文献:48
キーワード:一つ目・片目

後追い小僧
あとおいこぞう
 日本の神奈川県丹沢地方に見られる妖怪。いわゆる後神の一種。山中で気配を感じて後ろを振り返っても木や岩の影に隠れたようで誰もいない。これは山霊ないし後追い小僧の仕業である。特に害はないが、余りにもしつこい場合は何か食べ物を置いておくとよいという。道案内をするかのように前を歩く場合もある。夜間より昼間、特に午後に多く現われ、夜間の場合はちょうちんのような火を灯して人の前後に現われるという。
日本 > 妖怪・その他  文献:0324
キーワード:

アドニス
Adnis
 フェニキア神話に登場する植物の神。特にビュブロスにおいて信仰された。神名の「アドニス」は「我が主」を意味するセム語「アドニ」に由来する。太陽の熱で干からびた植物を象徴する神で、アドニスが冥界からこの世に来た時は急に草木が枯れたり花がしぼんだりするとされる。後にギリシア神話に取り込まれた。またカルタゴのバールとも同一視される。
西アジア > フェニキア神話・カナン神話  文献:07
キーワード:花・植物・樹木

アド=ヘネ
Ad-hene
 マン島ゲール語で「彼ら自身」ないし「あの人たち」といった意味を持つこの言葉は、妖精たちを呼ぶ際の遠まわしな呼称として使われた。妖精たちの本名を直接言ったり、間違った名前で妖精たちを呼ぶことは彼らの機嫌を損ねる可能性があるからである。
西ヨーロッパ > マン島  文献:1142

アトメフカト
Atmuhakat
 ベトナムのチャム族における女神。インド哲学の「アートマン(自我・あるいは物一般の本質のこと。宇宙原理ブラフマンと同一視される)」を擬人化した存在。宇宙に12個の太陽があった頃、子の年の6月、月曜日3時から世界を管理し始めたという。
東南アジア > ベトナム  文献:02

ア・ドライグ・ゴッホ
Y Ddraig Goch
 イギリスのウェールズにおいて伝説に登場するドラゴン。名前はウェールズ語で「赤い竜(The Red Dragon)」を表す。俗に「ウェルシュ・ドラゴン(Welsh Dragon="ウェールズのドラゴン")」と呼ばれることもある。赤い体をしたドラゴンで舌と尾の先端が矢尻状にとがった姿で描かれる。イングランドを征服していたサクソン王ヴォーティガーン(ウォルティゲルン)がウェールズのスノードニア山地に砦を築こうとしていたとき、決まって朝になると石材が消えていた。これが怪物の仕業であることが分かったので砦を作ろうとしていた場所を掘り下げてみたところ、地下に大きな洞窟があり赤と白の二匹の怪物がいることがわかった。急に棲みかに踏み込まれた怪物たちは興奮状態となり互いを戦いだした。この結果白い怪物グウィバーが負け、赤い怪物ア・ドライグ・ゴッホが勝利した。ア・ドライグ・ゴッホはウェールズの守護者であり、これはサクソン人のイングランドからの撤退を暗示していたとされる。ア・ドライグ・ゴッホの姿はウェールズの国旗として採用されている。
西ヨーロッパ > イングランド伝承 文献:10
キーワード:蛇・龍・ドラゴン

アトラトナン
Atlatonan
 アステカにおける大地と水の女神。アトラトナン、ウィシュトシワトルシローネンショチケツァルの4人の女神に扮した女性は、テスカトリポカに扮する若い戦士に仕える4人のうちの一人であった。この戦士は名誉と快楽を1年間傍受したあと、365日暦の6番目の暦月にある「トシュカトル(「渇いたもの」の意)」という祭儀で4人と一緒に生贄にされる運命にあった。
中南米 > アステカ神話

アナ
Ana
 放浪民族ロマニー族(ジプシー)の民間信仰に登場する妖精(ケシャリイ)達の女王。名前はサンスクリット起源で「栄養」の意。純真で美しく、山の城に住んでいるという。悪魔族ロソリコの王の姦計にはまり、アナは眠ったまま犯され、その過程で様々な悪魔が生じた。999年が経ったらロソリコの王と結婚するという約束でどうにかロソリコの王と別れたアナは、今は恥辱と絶望に悲しみながら自分の城に引きこもっているとされる。しかし稀に金色のヒキガエルの姿で現われることもあるという。
ヨーロッパ全般 > ロマニー族  文献:1142
キーワード:亀・蛙・トカゲ・ワニ

アナイエ
Anaye
 アメリカのネイティブアメリカンの一部族、ナヴァホ族における怪物の一団を指す言葉。アナイエに含まれる4つの怪物種は頭のないテルゲス(テルゲット)、手足のないビナイェ・アハニ、怪鳥ツエ・ニナハレエエ(ツァナハレ)、そして名前のない怪物である。この最後の怪物はまるで「岩肌に生えた根」のような毛皮を使い砂漠の岩にしがみついていて、とおりすがった旅人を食うとされる。彼等は父親なしにこの世に悪意を持ったある女性から生み出されたとされ、人間と世界に害を成すように運命付けられている。彼等は最終的に戦神ナイェネズガニトバディシュティニによって打ち負かされるが、彼等でさえもアナイエの兄弟である「寒さ」、「飢え」、「老い」、「貧しさ」を退治することは出来なかった。彼等は今も人間達を苦しめつづけている。
北米 > ネイティブアメリカン  文献:1031
キーワード:食人

アナエル
Anael
 ユダヤ教、キリスト教における天使の一人。「ハニエル(Haniel)」、「ハミエル(Hamiel)」、「オノエル(Onoel)」、「アリエル(Ariel)」などの別称をもつ。神の世界創造を手伝った七天使の一人であり、プリンシパリティーの指揮官とされる天使の一人。七層に分かれた天上の第二天(ラクイエ)の長とされることもある。「旧約聖書」イザヤ書においてラクイエの城門を開けと布告するのはアナエルとされている。
ヨーロッパ全般 > キリスト教・ユダヤ教  文献:13

アナト
Anat,Anath
 カナン、古代フェニキアの大女神。名前は「摂理」ないし「用心」を意味するとされる。闘いの女神としての性格が特に顕著で、アナトの祭祀はエジプトにも取り入れられた。エジプトではレーの娘で、セトの配偶者とされた。古代都市ウガリトの遺跡から出土した文書に示された神話では、アナトはアリヤン・バールと呼ばれる神の姉妹で、彼のために無数の人間を殺害して両手を血で染め、またバールをたおした モト神とも戦って、彼を殺し、その死体を切り刻み蓑でふるいわけ、火で焼き、臼で粉砕して畑にばら撒く残忍な女神として描写されている。
西アジア > フェニキア・カナン神話  文献:0107

阿那婆達多竜王 あなばだったりゅうおう
Anavatapta
 仏教における八大竜王の第六尊。八大竜王の中でも最も徳が高いとされる。尊名の「阿那婆達多(あなばだった)」はサンスクリット名である「アナヴァタプタ(Anavatapta)」を音により漢訳したもの。他に「阿耨達(あのくだつ)」とも音訳される。また意味訳より「無熱(むねつ)」とも称される。大雪山の山頂にあり、人間界を潤す源泉となっているとされる、「阿耨達池(あのくだっち)」と呼ばれる池に住んでいるとされる。
インド亜大陸 > 仏教  文献:4647
キーワード:湖沼・河川

アナーヒター
Aāhitā, Anahita
 古代ペルシア神話における聖なる水の女神。ゾロアスター教ではヤザタの一員とされる。名前は「純潔な者」、「汚れ無き者」の意。「アナーヒド(Anahid)」、「ナヒード(Nahid)」とも呼ばれる。また「アルドヴィー・スーラ・アナーヒター(Aredovi Sū-ra Aāhitā=湿潤にして強力且つ汚れ無き者)」という敬称を持っている。同名の河を神格化したもので、インドのサラスバティーとの共通点が多く見られる。世界に広がる河はつまりアナーヒターであり、人々に豊穣や財産、子宝など全ての恵みを与える神として信仰された。また星の間に住み、勇気ある高貴さを備えて、四頭立ての戦車に乗って進み、悪魔や暴君を打ち負かす戦神として金星に象徴される。敵であるはずのダエーワ達でさえ彼女に祈りを捧げたという。自然と生物の多産を約束し、鳥獣や牧場を保護し、王権を守護する。その姿は、千の星で飾られた金の冠と四角い金の首飾りをつけた痩身の気高く美しい処女、あるいは千の入り江と千の水路を有した巨大な川そのものであらわされる。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:01071340
キーワード:湖沼・河川戦争・闘争

アナフィエル
Anafiel, Anaphiel
 キリスト教、ユダヤ教における天使で、旧約聖書偽典「第三エノク書(ヘブライ語エノク書)」にその名が見える。名前は「神の技」を意味し、「アンピエル(Anpiel)」の名でも呼ばれる。エノクを天上へ運んだのはセミルとラスイル(→ラグエル)だとされるが(第二エノク書)、第三エノク書ではアナフィエルとラグエルだとされる。秘密の保持者で水の支配者であり、ケルブの長だとされることがある。
ヨーロッパ全般 > キリスト教・ユダヤ教  文献:1213

アナンシ
Anansi
 西アフリカから西インド諸島、南アメリカにまで広範囲に伝わる妖精ないし神。西アフリカのハウサ族は「ギゾー(Gizō)」、アカン族は「クワク・アナンセ(Kwaku Ananse)」と呼ぶ。また西インドのハイチでは「ティ・マリス(Ti Malice)」、キュラソー島では「ナンシ(Nansi)」と呼び、北米のサウスカロライナは「アント・ナンシー(Aunt Nancy=ナンシーおばさん)」や「ミス・ナンシー(Miss Nancy)」と呼ぶ他、アメリカでは「ミスター・スパイダー(Mister Spider)」とも呼ばれる。いたずら好きの変身ができる精霊で、変身やその他の超自然的な能力で他の生物を騙そうとしたり或いは逆に助けたりする話が伝わっている。
 ある時山火事から逃げ遅れたアナンシは蜘蛛に変身してメスのアンテロープの耳に隠れ、アンテロープを的確に指示を出して誘導し、ともに火から逃れた。その後アンテロープは子供といたところを狩人に出くわし、子供を助けるために狩人をひきつけて一生懸命走り回った。疲れきったアンテロープは元の場所に戻ってきたが子供はいなかった。アンテロープは子供が殺されたとおもったが、子供は無事に帰ってきた。アナンシが巨大な蜘蛛の巣の中に子供を隠してくれていたのである。
北米 > 大西洋・カリブ海域  文献:011148
キーワード:虫類

アナンタ
Ananta
 インド神話において、ビシュヌが瞑想する時に横たわるベットの役をする竜(大蛇)。アナンタとは「無限」という意味。「シェーシャ(Śea)」とも言われる。千ある頭のうち特に巨大な七つの頭で天蓋を作りヴィシュヌを休ませる。全てのナーガラージャを統べる王であり、終末には地上に出現しあらゆる創造物を破壊する原初の蛇にして最後の蛇。普段はブラフマーの命令により地底界に住み大地を支えているが、アナンタがあくびをすると地震が起こるという。
インド亜大陸 > インド神話・ヒンズー教  文献:030710
キーワード:蛇・龍・ドラゴン

アヌ
Anu
 アッシリアおよびバビロニアのパンテオンの最高神。天空の世界「」と地上の世界「キシャル」から生まれた。「アヌの空」と呼ばれる最も高い場所に棲み、配偶神である女神アンツに助けられて、宇宙を司った。エアエンリルと共に三大創造神として並び称される。「神々の王」、「天の王」、「国々の王」などの称号をもち、権力と正義、つまり至上権の全ての表象を備えている。人間と関わることなく、神々の父として神を支配すると考えられた。シュメール神話ではアンと呼ばれた。
西アジア > アッシリア・バビロニア  文献:07

アヌ
Anu
ダヌ

アヌビス
Anubis
 エジプトにおける冥界神の一人。本来は「インプ(Inpw)」の名で呼ばれた。冥界への門を開き、死者をオシリスの裁きの間へと導く役目を持つ。オシリスネフティスの子であるが、本来ネフティスの夫はセトであるのでアヌビスは「不義の子」ということになる。それ故アヌビスは生みの母ネフティスに捨てられてしまうが、オシリスの妻であるイシスに拾われ育てられた。ただしこれは後から出来た神話で、本来は太陽神ラーの四番目の息子とされていた。元々は単純な冥界神、あるいは冥界の番犬(番人)のような神格だったと思われるが、複雑なエジプトの神話体系に取り込まれることによってその役割も細分化した。マートの「真実の羽」と死者の魂を天秤にかけて計量する仕事や死んだファラオのミイラに命を吹き込む仕事はアヌビスの役割とされる。また医学や薬術に長けており、オシリスがセトに殺害された時に、その身体に布を巻いてミイラにしたという神話からミイラ作りの神としてミイラ職人に崇拝されていた。また墓地の守護神としても信仰され「聖なる土地の主」と称された。
 冥府へ死者を導くことからギリシャのヘルメスと同一視され、「ヘルマヌビス」と呼ばれたりもする。黒いジャッカル或いはイヌの頭を乗せた黒っぽい皮膚の男、或いは単純に犬の姿で表される。
アフリカ > エジプト神話  文献:0103040730
キーワード:獣頭人身犬・狼治癒・医療死・冥界

アヌラップ
Anulap
 太平洋中西部、ミクロネシアのカロリン諸島における神。邪神オロファットを殺すために、首に綱を巻いたり、棒で打ちかかったりするもののことごとく失敗する。
環太平洋 > ミクロネシア  文献:02

アーネ
Áine
 ケルト神話における愛と豊穣・多産の女神。海神マナナン・マクリルの里子であったエオガバルの娘。人間の愛を鼓舞する女神だが、彼女自身をものにしようとした者はアーネの魔術により死を遂げたという。6月23日(夏至祭前日)には彼女に捧げる祭礼が盛大に行われた。これは豊穣や多産を祈るもので、アーネは穀類に豊かに実るように、家畜が沢山子供を生むように命じる者だったとされる。
西ヨーロッパ > ケルト神話・アイルランド神話  文献:09

アハ・イシュケ
Each Uisge, Eač Uisge
 もしくは「エフ・ウシュゲ」ないし「エフ・イシュゲ」とも。アイルランドやスコットランド高地地方において、海や塩水湖の塩水の中に住むといわれる馬の怪物の一種。名前は「水馬」の意。「アハイシュカ(Aughisky)」、「アハ・イシュカ(Augh-iska)」とも呼ばれる。鳥や美男子の姿でも現われるとされるが、たいてい美しい馬の姿で岸辺や湖岸にいて、興味を持った人が背中に乗りたくなるように誘ってくる。しかし人が背中に乗るアハ・イシュケは海や湖に向かって走り出し、降りようとしても不思議な力が働いて降りれない。こうして水中に引きずりこまれた人間は肝臓を残してアハ・イシュケにむさぼり食われ、残った肝臓だけが翌日の岸辺に打ち上げられるという。ただ、岸にいるアハ・イシュケに鞍と手綱をつけることができれば、水場に近づけない限り人間でも扱える優れた乗馬用の馬になるとされる。
西ヨーロッパ > その他/総合  文献:031142
キーワード:海・大洋・航海食人

アハウ・キン
Ahau Kin
キニチ・アハウ

アパオシャ
 
 イラン、ゾロアスター教における旱魃を司る悪魔。 頭や背や尾に一本も毛のない真っ黒の馬のような姿であらわされ、自在に天を駆けるこの馬が中空に居座る限り、下界は日照りに悩まされつづけるという。ゾロアスター教聖典によれば、アパオシャは雨の神ティシュトリヤと三日三晩戦った末、これを打ち負かすが、ティシュトリヤは善神アフラ・マズダより「十頭の馬の力、十頭の駱駝の力、十頭の牛の力、十の山の力、十の大河の力」を付与され再び現われ、アパオシャを打ち負かす。こうして下界に雨期がやってくるのだという。しかし、ティシュトリヤがいつも速やかにアパオシャに勝つとは限らないとされる。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:04
キーワード:

アパサウンカムイ
 
 アイヌ民族におけるタヌキ(ムジナ)の姿で顕現するカムイ。名前は「戸口を守るカムイ」の意。男女一対のカムイと考えられることもある。
日本 > アイヌ  文献:02

アバーシ
Abaasy
 シベリアのヤクート族において、邪悪な存在とされる悪霊たちのこと。地下世界に住み、「アバース・オイクボ」と呼ばれる特別な穴を通って人間のもとに現れる。邪神ウル・トヨンによって支配されてとされることもある。アバーシの頭目の息子は眼が一つしかなく、鉄の歯を持っているといわれる。
東アジア > シベリア
キーワード:一つ目・片目

アバス
Abath
 16世紀のヨーロッパの旅行家による想像上の生物。マレーシアの森に住む、額に一本の角を持つ雌の一角獣であるという。実際アバスの角をされるものがアラブと取引されていたが、これは実際マレーシアに生息するスマトラサイの角だったと思われる。
ヨーロッパ全般 > 伝承・その他  文献:10

アバッシ
Abassi
 西アフリカのエフィク人の神話に登場する天空神。妻は「アタイ(Atai)」。彼ら夫婦神は最初の人間を創造したが、人間が自分たちの能力を超えることを恐れ、自分たちのそばに住まわせ自分達の管理下においた。この管理は子供を作ることや働くことを禁じる厳しいものだったが、結局人間の夫婦はこれらの制約を無視し始め、自分で耕した畑で自分のたちのための穀物を育て、交わり子供を産んだ。アタイはこの人間の夫婦に死を与え、子供たちに不和の原因を作ったという。この伝承は人間に訪れる死や諍い、病気などの負荷は、人間が神から離脱したための代償であることを説明するものである。
北米 > 大西洋・カリブ海域  文献:48

アバドン
Abaddon, Abbadon, Abadon
 ユダヤの魔神で、「疫病のイナゴ王」、「死の闇天使」、「奈落の魔神」などと称される。「アアドン」はヘブライ語名であり、「ヨハネの黙示録」にはアポルオン(Apollyon)という名で出てくる。その名は「破壊」、「滅亡」、「廃墟」、「墓」、「冥界」、「死」などの意味があり、ギリシアの太陽の神アポロンとも関係があるとされる。鎌状の翼を持った恐ろしい姿で、見たものはショック死するとされる。地獄の奥底に住む堕天使で 、最後の審判が訪れる時に、イナゴに似た使い魔を放って人間を苦しめ抜くという。
 「ヨハネの黙示録」によれば、「底なしの淵の使い」であり、千年の間サタンを束縛しつづける天使とされる。死海文書に含まれる「感謝の賛歌」という文献には「アバドンの冥土(シオウル)」、「アバドンへ流入するベリエル(ベリアル)の奔流」などの形で言及され、更に外典「聖書古代誌」によればアバドンとは魔神や天使ではなく冥土ないし地獄の名称だとされている。「アバドン」という名称を始めて擬人化したのは聖ヨハネだと考えられている。
全般ヨーロッパ > グリモアなど  文献:031213
キーワード:病気虫類

アビゴル
Abigor, Abigar
 ユダヤの魔神で、「冥界の大公」と称される。王笏をもった見た目よい騎士の姿であらわれる。未来を予言する能力と、軍の指揮能力を有する。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:11

アビス
Abyss
 エジプトにおいて、牡牛の姿をした豊穣の神。
アフリカ > エジプト神話  文献:01
キーワード:

アピス
Apis
 エジプト神話に見える雄牛の神性。メンフィスを中心として信仰されていた。「ハピ(Hapi)」、「エパポス(Epaphos)」ともいう。エジプトの他の雄牛の神性と同様に、もともと 多産豊穣の神で、鳥獣の繁殖に関係していたが、のちプターやオシリスと結びつくようになった。アピス信仰では実際の牛を信仰の対象としていて、しかるべき理由(兄弟が居ない、稲妻や天上からの光に打たれた母牛から生まれた、体に聖なる模様がある、など)によりアピスとなる牡牛を選び、その生涯が終わるまで神として祭り上げる。そのアピスが死亡すると王公貴族のように飾り立てたミイラにして石棺に納め、サッカラにある地下墓地に葬られたあとに、また次代のアピスを神々の陪審員(おそらく神官が受け持ったと思われる)が選定した。
アフリカ > エジプト神話  文献:0103071030
キーワード:

アビー・ラバー
Abbey lubber
 イングランドの民間伝承に伝わる小悪魔。名前は「大修道院のでくの坊」という意味。修道院に棲んでいて敬虔な修道士達を誘惑して酒浸りにさせたり、贅沢な生活に溺れさせることで彼らを堕落させ地獄に落ちるように仕向けるとされる。15世紀以降の堕落した修道院に向けられた人々の不満が生み出した悪魔といえる。またアビー・ラバーは食料室の精霊としても知られる。
西ヨーロッパ > イングランド伝承  文献:11
キーワード:食物・穀物・台所

アフィラーマジムン
 
 沖縄の読谷村に出現する妖怪で「マジムン」の一種。一連の股をくぐられると死んでしまう妖怪の一つで、あひるが化けたものだとされる。ある農民がアフィラーマジムンに石を投げつけたところ、沢山の蛍になって散り、農民の周りを飛び回ったが、一番鶏の鳴き声で消え去ってしまったという。
日本 > 沖縄  文献:24

カムイ
 
 アイヌ民族において天然痘として顕現するカムイ。悪いカムイとは考えられていない。名は「歩くカムイ」の意で、アイヌ人には天然痘が村から村へ渡り歩くように見えたことからの名。霰の模様の入った服を着ている。同じ意味での「パイェカイカムイ(うろつくカムイ)」、一種の死神としての「パコロカムイ(寿命を司るカムイ)」・「オリパカムイ(恐れ多いカムイ)」、併発症を伴うところから「ウアタラコカムイ(眷属をもつカムイ)」など、多くの名前で呼ばれた。
日本 > アイヌ  文献:02
キーワード:病気

アプサラス
Apsaras
 インド神話における女の妖精の総称。「アスパラス(Asparas)」とも呼ばれる。元々は水の精だったが時代が下ると森の精と考えられるようになった。彼女らは川、雲、電光、星の中に住み、みずからの姿を水鳥に化する。また、ミヤグローダ(バニヤンの樹、榕樹)や菩提樹、バナナやイチジクの木に住むとされる。人々に精神異常や狂気を起こさせたり、修行者を誘惑し堕落させたりする。男の妖精であるガンダルヴァはアプサラスの配偶神として知られている。有名なアプサラスとして、プルーヴァラス王の妻となった「ウルヴァシー(Urvasi)」、ドゥシュヤンタ王の妻となった「シャクンタラー」などがいる。
インド亜大陸 > インド神話  文献:030711

アプス
Apsu
 古代メソポタミア神話の神。地下に広がると観念された、地上全ての水の源をなす淡水を神格化した存在で、太古に、海水を神格化した蛇形の女神ティアマトと夫婦になり、この両者から全ての神々が生じたとされる。のちに彼は子孫の神々が騒がしいのに怒って、配下のムンムと共に彼らを滅ぼそうとしたが、逆にエアに殺される。
西アジア >   文献:07アッシリア・バビロニア

ア・プチ
Ah Puch
 マヤ神話における死の神。九つの層に分かれた地下の冥界「シバルバー」の、最も深い9層目の世界「ミトナル(mitnal)」を支配している。この世界に棲む悪鬼達の王として、「フン・アハウ」という別名も持っている。またユカタン半島では「ユン・シミル」とも呼ばれる。高位の神イツァムナの宿敵であり、なおかつ農耕神ユン・カーシュとは非常に不仲であるとされる。マヤの20日ある暦月の6日目を司り、数字の10と方角の南、色の黄色を象徴する。死を象徴するア・プチは戦いや生贄の神々と近い関係にあると考えられ、犬、ムアン鳥、フクロウなどを伴って表される。ムアン鳥やフクロウは、メソアメリカにおいて不吉の象徴で死の前兆であった。
 その姿は、あごから肉が削げ落ち、腐敗を表す黒点が身体中に浮き出て、背骨や肋骨があらわになった姿をしている。また、鈴を身につけた膨張した死体として表されたり、骸骨そのものとして描かれることもあった。彼を表すための象形文字は、生贄解体用のナイフやパーセント記号に似たモチーフが使われた。死の国に新たな住人を招くべく、病人や死期のせまった人間の家をうろつき回るという。その姿や役割はアステカのミクトランテクートリに相似している。
中南米 > マヤ神話・他  文献:01043348
キーワード:方位死・冥界

アプトルヤムペウェンユク
 
 日本北海道の先住民族アイヌに伝わる魔物。空にいて激しい暴風雨を起こす元凶となるという。アプトルヤムペウェンユクの暴風雨による害を避けるためには外に篩(ふるい)を置けばよいとされた。
日本 > アイヌ  文献:24

アブラクサス
Abraxas
 ユダヤの魔神で、「永却の貴公子」と呼ばれる。「アブラクシス(Abraxis)」、「アブラサクス(Abrasax)」などの名でも呼ばれる。また正式にはギリシア語で「αβραξασ」と綴る。雄鶏の頭に2匹の蛇を足とした姿をしている。右手には盾を、左手には鞭を持っていて、この世の生き物と神との仲を調停する役目があるとされる。「アブラカダブラ(abracadabra)」という呪文はこの魔神から来ているとされる。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:03

油澄まし
あぶらすまし
 日本の妖怪で、熊本県天草諸島などで目撃される。油瓶を持ち、物憂げに澄ました顔で峠道に現れ、道行く人々を驚かす。人間の姿をしているが、頭だけが奇妙に大きく、身体中を蓑ですっぽりと包み杖をついている。油澄ましの噂話をすると出るといわれ、油を盗んだ人間の霊が化けたものとも言われる。「あぶらすまし」の訓は柳田国男の「妖怪談義」などによる誤記から始まったものであって、正しくは「あぶらずまし」という(「天草島民俗誌」による)。
日本 > 妖怪・その他  文献:0324

アフラ・マズダ
Ahura Mazdāh
 ゾロアスター教の善神にして最高神。アフラは神、マズダは知恵を意味する。また「オルマズド(Ohrmazd)」と呼ばれることもある。悪魔アンラ・マンユに対する絶対の善であり、この世界はこの二者の絶えざる闘争の場であるという。天上の光に満ちたところに棲み、神聖な教義や知恵の源として崇拝された。「全生命の創始者」とも呼ばれる。二者の関係には二つの説があり、一つはアフラ・マズダはアンラ・マンユより上位の存在でありその存在価値は神と悪魔のような関係であるとする説、もう一つは二者は同格の存在であり、超越的な根本原理「無際限の時間」から生まれた双生児であるとする説である。双子の精霊スペンタ・マインユとアンラ・マインユをつくり、像は王冠をかぶった有翼の人間の姿をとる。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:0107

アブルッツォ・マッザマレッレ
Abruzzo Mazzamarelle
 イタリアの妖精でフォレッティの一種。風の妖精として知られる。身長60cmほどの小人の姿で花で飾った絹の帽子をかぶった姿で現れる。バッタの姿をすることもあるとされる。
南ヨーロッパ > イタリア伝承  文献:42
キーワード:虫類

アペカムイ
 
アペフチ

アペプ
Aapep, Apep
アポピス

アペフチ
 
 アイヌ民族において、炎を顕現体とするカムイ。名前は「火の老婆」といった意味。「アペカムイ」とも呼ばれる。また「イレスカムイ」と呼ばれることもある。本当の名前は「アペメルコヤンコヤンマッ(炎の輝きとともに囲炉裏の縁に寄り上がる女性のカムイ)」あるいは「ウナメルコヤンコヤンマッ(肺の輝きとともに囲炉裏の縁に寄り上がる女性のカムイ)」だとされる。パセカムイ(重要なカムイ)の一人でカムイモシ(カムイの世界)からアイヌモシ(アイヌ=人間の世界)に来た最初のカムイとされる。またアペカムイは単独のカムイではなく、「アペウチエカシ(火の老人)」と「アペウチフチ(火の老婆)」という夫婦のカムイとされることがあるが、これはアイヌで独身より夫婦の方が格が上だと考えられたためである。神謡のなかではウンコトゥカムイクカムイを使者とする。
日本 > アイヌ  文献:02
キーワード:

アベ・マンゴ
Abe Mango
 アマゾン上流に住むトゥカノ族における女神で文化神。創造神パヘ・アベの娘で父親が人間を想像した後、地上に降りて人間に火の使い方や料理の仕方、住居の建て方、衣服の織りかた、土器の作り方などを教えた。
中南米 > その他  文献:08

アペメル
 
 アイヌ民族において、火花を顕現体とする男性のカムイ。カンチュウとともにチピヤカムイの兄で、チピヤカムイを見初めたアイヌ人の男に試練を与えた。
日本 > アイヌ  文献:02
キーワード:

アベレ
Abere
 メラネシアの信仰・伝説に登場する、邪悪な女の精霊。若い女たちを従えているという。湖水の中から男を誘惑しておびき寄せ、自分の回りに葦や藺草を茂らせて身を隠す。そうしておいて間抜けな男達を罠にかけ殺すという。
環太平洋 > メラネシア
キーワード:湖沼・河川

アポ・カタワン
Apo Katawan
 フィリピンのネグリト族における、「父」なる神。
東南アジア > マレーシア地域  文献:02

アポタムキン
Apotamkin
 北アメリカのパサマクウォディ族に伝わる怪物。人間に似た姿をしているが、体は長い毛に覆われ、大きな歯を持ち人を襲って食べるとされる。
北米 > ネイティブアメリカン  文献:10
キーワード:食人

アポピス
Apophis
 エジプトにおいて、水と土の元素からなると考えられた渾沌と闇の蛇。ネイトから生まれたとされる。「アペプ(Apep,Aapep)」、「アポプ(Apop)」、「アポフィス(Apophis)」などとも呼ばれる。宇宙的な大きさを持つ人頭の蛇や爬虫類の姿で描かれる。その体は黄色と黒で染められ、悪、夜、死、闇といった世の中のすべての負性を象徴する。「恐ろしき者」、「危険な者」、「反逆する者」、「招かれざる者」などと呼ばれ恐れられた。闇と月を象徴するアポピスは、太陽の神アトゥムラーの敵であり、アポピスが太陽の船を飲み込むと食が起こると信じられていた。元来はセトの敵でもあったが、セトがオシリスの伝説において悪役とみなされるようになると、アポピスもセトの仲間と考えられるようになった。アポピスは原書の水(アビュッソス)から現われたもので、世界を原書の混沌に引き戻そうという力を顕れである。アポピスがエジプトの祭儀に登場する時、それは退治すべき邪悪な者として登場する。メンフィスで行われるソカリス祭では、王がオシリスの前でアポピスを打ち負かす儀式を行う。別の神殿では、セトとその従者を倒す書があり、そこでもアポピスは倒されている。また、このような儀式で行われる教えは、後世になるとあらゆる悪から身を守る呪文のようなものとして使われるようになった。ただし冥界においては、アポピスはオシリスに有罪を宣告された死者達を追いまわし、苦しめる役割を担っている。
アフリカ > エジプト神話  文献:0304071030
キーワード:蛇・龍・ドラゴン

アポヤン・タチュ
Apoyan Tachu
 ネイティブアメリカンの一部族、ズーニー族における「父なる天」。原初の両性具有の存在であり、海を創造し、自身は太陽と変じた存在アウォナウィロナの一部、緑なす苔から「母なる大地」であるアウィテリン・ツィタのともに生まれた。全ての生命はアポヤン・タチュとアウィテリン・ツィタから生まれたとされる。
北米 > ネイティブアメリカン 文献:48

アポロ
Apollo
 ギリシア、ローマ両神話に登場する太陽神。予言、芸術、医術の神でもある。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話
キーワード:治癒・医療

アマ
 
 奄美大島瀬戸内地方における妖怪の一種。人間として正しい行いをしなかったものや、神の世を信じないものは、死んだ後木に吊るして曝された。こういった者はやがてアマという化け物になるという。アマは狐や狸の類いだと考えられている。
日本 > 沖縄  文献:19

アマイモン
Amaimon
 ユダヤの魔神でソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。「マイモン(Maymon)」とも呼ばれる。またアモンの別名と考えられる。地獄において東の領域を支配するデーモン王とされる。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:040614

アマエゾン
Amaethon
 「アマイソン」とも。ケルト神話において女神ダヌないしドーンの息子とされる神。農業を司り、地下世界「アンヌン」の支配者アラウンから三種類の動物と豊穣の秘密を盗み地上へもたらしたとされる。
西ヨーロッパ > ケルト神話・アイルランド神話  文献:0109

天津神
あまつかみ
 日本神話において、天上界「高天原(たかまがはら)」に住む神とその子孫に当たる神の一族に対する総称。国津神と対応しているがその分別は明確ではなく、どちらにも属さない神もいる。単に「天神(てんじん)」と呼ばれることもある。天津神の多くは名前の頭に「天(あまの/あめの)…」の語が付く。天津神の子孫であっても、天孫降臨以前に大地に根ざした神(大山津見神須佐之男命など)は国津神に数えられる。天津神の中でも宇宙に初めて出現した五柱は別格とされ別天神と称される。天津神の神々に指令を出す現実的な支配者は天照大御神である。
日本 > 記紀神話  文献:15

天津久米神
あまつくめのかみ
 日本記紀神話において高天原(天界)の武神。久米直(くめのあたい)の祖神。天孫降臨において、天忍日神と共に「天之岩靭(あめのいわゆぎ)」、「頭椎之太刀(くぶつちのたち)」、「天之波土弓(あめのはぢゆみ)」、「天之真鹿児矢(あめのまかごや)」といった武具を携え、邇邇藝命の前駆を行なったとされる。
日本 > 記紀神話  文献:1821
キーワード:戦争・闘争

アマッザマレッドゥ
Ammazzamareddu
 イタリアの妖精でフォレッティの一種。「マッザマリエッドゥ(Mazzamarieddu)」とも呼ばれる。地震や嵐、吹雪を起こす妖精で、年に一回、聖ジャコモ(サン・ジャコモ=San Giacomo)と聖フィリッポ(サン・フィリッポ=San Filippo)を相手に戦いを繰り広げている。風がやまないようになるのはアマッザマレッドゥが勝った証なので、農夫たちはニンニクを噛んでアマッザマレッドゥが近づけないように用心する。一つの場所に棲み続ける習性があり、殺人が起きたときだけその場所から移動するとされる。
南ヨーロッパ > イタリア伝承  文献:42

天津日子根命
あまつひこねのみこと
 日本記紀神話に見える神。「天津日子根命」は古事記での表記で、日本書紀では同訓で「天津彦根命」と書く。天照大御神須佐之男命の誓約(うけい)によって生まれた五男三女のうちの一柱。名前は「天に坐す太陽の子の神」の意。各地の氏神が信仰していた土着の神が集合したものと考えられ、そのためか農業や漁業、産業開発など多岐にわたる霊力を有した神となった。天目一箇神の親神とされる。
日本 > 記紀神話  文献:182122

天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命
あまつひこひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと
鵜葺草葺不合命

天津甕星
あまつみかぼし
 日本神話における星の神で悪神。日本書紀のみで古事記には見えない。またの名を「香背男(かがせお)」ないし「天香香背男(あまのかがせお)」という。「天津甕星」の「みか」は恐らく「御」+「イカ(厳しいの語幹)」の短縮で、荒々しい神に対する敬称と考えられる。天津神であるにもかかわらず、高天ヶ原の命に従わない天津甕星は、猛き神建御雷之男神経主神のニ柱をはねのけるほどの力を持っていたが、建葉槌神(たけはづちのかみ)のまえに平伏した。星と、星を見て占う占星の吉凶を司る神と考えられる。
日本 > 記紀神話  文献:0422
キーワード:星・惑星

天御虚空豊秋津根別
あまつみそらとよあきづねわけ
 もしくは「あまのみそらとよあきつねわけ」。古事記に登場する地霊。伊邪那岐命伊邪那美命による国産みの際生まれた。14島の八番目で大八島(おおやしま)の最後の島であり、「大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま)」つまり畿内地方ないし本州を神格化したもの。「あまつみそら」とは天空の美称、「とよあきつ」は豊かな秋の実りがある、といった意。
日本 > 記紀神話  文献:1821

天照大御神
あまてらすおおみかみ
 日本の記紀神話の最高女神。古事記には「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」あるいは「天照大神(あまてらすおおかみ)」、日本書紀には「大日冠:雨+脚:妾貴(おおひるめのむち)」、「天照大日冠:雨+脚:妾貴(あまてらすおおひるめのむち)」などと表記されている。また「天照御魂神(あまてらすみたまのかみ)」、「天照坐大神(あまてらすいますおおかみ)」などの別称もある。
 高天原(たかまがはら)の主神、つまり八百万の神々のトップランクに位置し、その名の示す通り、太陽を司る神。伊邪那岐命から生まれた「三貴神」の一神。弟の須佐之男命の粗暴なふるまいを怒って天岩屋戸に隠れた話は、日蝕を表したものだとか、キリストの復活を真似たものであるなどの色々な説があるが、要するに生物(人間)にとってどれだけ太陽の恵みが無くてはならないものかを伝えるための説話だと思われる。
日本 > 記紀神話  文献:1517182122
キーワード:太陽

天香香背男神
あまのかがせおのかみ
天津甕星

天探女神
あまのさぐめのかみ
 日本の神で、邪心をもち、他人の心を探り出すのに長じているという。古事記には「天佐具女(あめのさぐめ)」、日本書紀では「天探女(あめのさぐめ)」の名で登場する。天若日子をそそのかし、出雲平定の天命にそむいた天若日子の責任追及のため高天原から遣わされた雉を射殺させた。天邪鬼はこの神の名によるともいう。
日本 > 記紀神話  文献:182122

天逆毎
あまのざこ
 日本における反抗神の一人。「先代旧事本紀」に見える。「和漢三才図会」の説明によれば須佐之男命の体の中に溜まった「猛気」が口から出て成した女神であり、人間の体に獣の頭のついた姿で高い鼻と長い牙を持つという。どんな力強い神でも投げ飛ばし、どんな強固な刀や矛でも噛んで壊してしまう。意のままにならぬと荒れ狂い、何事にも従うを良しとせず左にあるものを右にあると言い、前にあるものを後ろにあると言う。
日本 > 記紀神話  文献:24
キーワード:獣頭人身

天邪鬼
あまのじゃく
 日本の妖怪で、天探女或いは天逆毎を語源としている、小鬼、悪鬼の類。人の心と正反対の事をして楽しむへそ曲がりな妖怪。他人の姿や口真似、物真似をしたり、或いはそれをさかさまにやってみたりして人に逆らい、からかうが、大抵の場合結局は痛い目に遭う。「あまのじゃこ」とも読む。
日本 > 妖怪・その他  文献:030424

アマラ
Amala
 アメリカ北西沿岸に住むネイティブアメリカンの一部族、ツィムシアン族に伝わる大地の担い手。超巨大な存在で大地を背に担いで回転することによって地球を回している。年に一回アマラの召使いがアヒルの油を筋肉にさすことによって、アマラの重労働は幾らか軽減されているが、アヒルが絶滅し、アヒルの油が採れなくなったとき、アマラは耐え切れず大地を背中から落とし、大地は崩壊してしまうとされる。
北米 > ネイティブアメリカン  文献:10

アマルゴ
 
 フィリピンのルソン島における太陽神。人が恋をするのはアマルゴがその人の魂を盗んでしまうからだという。
東南アジア > マレーシア地域  文献:02

アマンチュー
 
 沖縄における創世神。「アマミキヨ」、「アマミコ」、「アマミク」とも言う。昔、天と地は境が無くて一つであったので、人間は蛙のように這っていた。そこでアマンチューが天を押し上げ、天と地の境を作った。そのために人間は立って歩けるようになったという。これと同じ話は、「アマンシャグマ」という巨人の話として熊本県に伝わっている。
日本 > 沖縄  文献:0324

アミィ
Amy, Avmas
 ユダヤの魔神で「炎の総統」と称される。かつては天使(或いは能天使powers)の階級だったが今では地獄の大総督の位にあるとされる。地獄と業火と煙の柱に包まれて現われるため、実際の姿はわからない。この炎は冷たく燃え広がらないが、火柱を見つめていると、そこにはさまざまな光景が現われ、未来の風景まで映るとう。また指でこの火柱に触れると自分の死の光景を見ることが出来るとも言われている。命じられれば炎のおおいを解き、魅力ある男性、或いは干からびた小人の姿をとる。人間の魂と引き換えに占星術などの様々な技術を伝授する。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:030413

網剪
あみきり
 「網切り」とも書く、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」に見える妖怪。それ以前の文献に見つからないため石燕の創作した妖怪である可能性が高い。エビのような体に蟹のようなハサミを持って網を切っている姿が描かれている。多田克巳によればこれは魚などを捕る「網」と撒き餌などに使われる甲殻類の「醤蝦(あみ)」とをかけて創作された妖怪だとしている。海にいる仲間を救うために死んだアミが妖怪と化し網を切る、といった妖怪だろうか。
日本 > 妖怪・その他  文献:0324
キーワード:海・大洋・航海

阿弥陀如来 あみだにょらい
Amitāyus, Amitābha
 仏教における如来の一。名前はサンスクリットの「アミターユス」、「アミターバ」を音訳したもの。またそれぞれの意味を漢訳して「無量寿如来(むりょうじゅにょらい)」、「無量光如来(むりょうこうにょらい)」とも称する。人間の世界(娑婆)から西に遠くはなれた「西方浄土(さいほうじょうど)」、いわゆる極楽浄土の教主であり、四十八願をもって一切の衆生を救うとされる。入仏前は「法蔵比丘(ほうぞうびく)」と称したとされる。死後の安泰を願う仏尊として日本や中国で特に篤く信仰された。脇侍として右に勢至菩薩、左に観音菩薩を従えた阿弥陀三尊像が多く作られたほか二十五菩薩を従えた「来迎図(らいごうず)」などの作例もある。五智のうち、妙観察智を司る仏尊として胎蔵界曼荼羅の中台八葉院に配される。
インド亜大陸 > 仏教  文献:3443
キーワード:死・冥界

アミタンネカムイ
 
 アイヌにおいて徘徊性で巣を作らない種類の蜘蛛であるアシダカグモを顕現体とする女性のカムイ。名前は「足(爪)の長いカムイ」の意。長く細い脚が女性を連想させるところから女性のカムイとされたと思われる。蜘蛛一般を顕現体とするカムイはヤオカムイと呼ばれる。
日本 > アイヌ  文献:02
キーワード:虫類

ア・ムセン・カブ
Ah Musen Cab
 マヤにおける蜂蜜の神で養蜂の守護神。蜂蜜はメソアメリカにおいて重要な交易品であった。同じく蜂蜜を守護する神としてシュムルセンカブがいる。
中南米 > マヤ神話・他
キーワード:虫類

アムドゥシアス
Amdusias, Abuscias
 ユダヤの魔神で、「一角公」と称される。銀色のユニコーンの姿をとり、使い魔の楽隊を率いて、いかなるところでも美しい音楽を鳴らす。その音楽で、木々の枝葉を自由に動かすことが出来る。人間の姿をとるときは白いアゴヒゲを生やした背の高い痩身の男になる。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:0304
キーワード:音楽・舞踊

ア・ムン
Ah Mun
ユン・カーシュ

アメサ・スペンタ
Amesa Spenta
 ゾロアスター教における聖なる存在(神々)の総称で、アメシャ・スペンタ、アムシャスペンズ、アメシャス・スペンタとも呼ぶ。名前は「聖なる不死者」ないし「不滅の聖性」の意。ゾロアスターの宗教改革以前に信じられていた古代ペルシアの神々だったと思われる。つまり「至高神」アフラ・マズダを絶対の存在とする一方で、古代から信仰・人気のあった神々を、アメサ・スペンタとして教義に取り込み、邪悪な神アンラ・マンユに対立する唯一絶対の神アフラ・マズダの見せる別の顔として定義しなおしたというのが通説である。アフラ・マズダだけが信仰に値する存在で六柱ないし七柱のアメサ・スペンタは、アフラ・マズダと人間(信者)達の間を仲介する存在とされる。その使者という立場からよくユダヤ・キリスト教の天使(参考:エンジェル)と比較される。
 アメサ・スペンタはそれぞれが、生き物の種、一年のある一部、といった世界を構成する特定の部分に関わっている。ゾロアスター教の天界にける天界の最高天に住み、眩く輝く不可知の存在であり、教主ゾロアスターはアメサ・スペンタの前に立ったときその輝きで自分の影すら見れなかったという。信者だけでなくヤザタでさえも彼等に祈祷を捧げるとされる。
名前 司る事柄
スプンタ・マンユ 真理
ヴォフ・マノ 善き思い、動物、家畜
アシャ・ヴァヒシュタ 正義、火
スペンタ・アルマルティ 信仰、地
クシャスラ 支配、太陽と天
ハウルヴァタト 完全、水
アメレタト 不死、植物
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:07111340

天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命
あめにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎのみこと
邇邇藝命

天石門別神
あめのいわとわけのかみ
 日本神話における門神。日本書紀には名前が見られず、古事記にのみ登場する。別称を「天石戸別神(同訓)」、「櫛石窓神(くしいわまどのかみ)」、「豊石窓神(とよいわまどのかみ)」などという、布刀玉命の子神。天石門(あまのいわと)とは、「天上界(高天原)に入り口にある堅固な門」と解される。天孫、邇邇藝命が地上に降臨する時に、天照大御神の指名によって思金神や天手力男神などとともに、随伴した神の一人。神名にもあるように、石あるいは磐と深い関係がああると言われていて、この神を祭神とする神社の中には、巨石、巨岩を御神体とする神社もある。  名前のとおり、門を司る神であり、ひいては、生(現世)と死(他界)、村の内と外、家の内と外、といった境界を司る神でもある。外界から災厄が侵入することを防ぎ、人間の平穏な生活を守護する霊力を発揮すると考えられている。 神徳として災厄・疫病防除、家内安全、無病息災などがある。
日本 > 記紀神話  文献:1821

天宇受売命
あめのうずめのみこと
 「古事記」には天宇受売命で登場し、他に同訓で「天鈿女命」(「日本書紀」,「古語拾遺」)とも書く。「宇受(うずめ)」とは「かんざし」を意味し、髪飾りをして神を祭る女神、ないし神憑った女性を神格化した姿だと考えられる。天照大御神が天岩戸(あまのいわと)、或いは天岩屋戸(あまのいわやど)に隠れた、いわゆる「岩戸隠」の話で、大御神を外へ誘い出すために洞窟の前で踊りを披露した女神。天宇受売命のその時の踊りを要約すると、「胸をはだけて乳房を露出し、さらに腰の紐をほどき、衣を下げて女陰に紐を押し当てた」といった感じである。この踊りは天照大御神の怒りをなぐさめ、和らげるもので、ひいては日の神を回復させるものである。そこから、神を祭りなぐさめる為に神前で舞を奉じる神楽の始まりとされ、天宇受売命はその祖神とされる。神楽の語源は「神座(かみくら)」であると言われ、これは神を招き、降臨してきた神を歓迎し祝福するために、神座(神の宿る場)において踊りをささげる事である。また神楽とは同時に、神の心を楽しませ和らげる「神遊び」という意味も含まれており、そうした神楽から日本の様々な芸能が派生した事から、天宇受売命は、日本における芸能の源流の神ともされているのである。また、天宇受売命が神懸りして踊る様子を「俳優(わざおぎ)をなして(滑稽な動作をして舞い歌い、神や人を楽しませること)」と記されていることから、俳優のルーツとも言われている。
 「天孫降臨」に際しては、天の八衢(やちまた)において一行を待っていた猿の旧字体田毘古神に名を問う役を命じられ、この時もやはり裸になって猿の旧字体田毘古神を誘惑して理由を聞き出し(猿の旧字体田毘古神は彼らを先導するために馳せ参じた)、見事にその役目を推敲している。この縁で猿の旧字体田毘古神と天宇受売命は結婚し、その子孫は「猿の旧字体女君(さるめのきみ)」と称するようになったと言う。
日本 > 記紀神話  文献:15182122
キーワード:音楽・舞踊

天上春神
あめのうわばるのかみ
 思金神の子神。「天表春命」とも書く。信濃阿智祝部、武蔵秩父国造の祖神。天孫降臨の時、守護神として従う。
日本 > 記紀神話

天忍男
あめのおしお
 記紀神話における地霊。伊邪那岐命伊邪那美命による国産みの際生まれた、14島のうちの13番目で六島の五番目。知訶島、つまり今でいう長崎県の五島列島を神格化した存在。「忍男」とは「多し男」の意だと思われる。
日本 > 記紀神話  文献:1821

天之忍許呂別
あめのおしころわけ
 記紀神話における地霊。伊邪那岐命伊邪那美命による国産みの際生まれた、大八島の三番目となる島。隠伎之三子島(おきのみつごのしま)、今でいう隠岐諸島を神格化した存在。
日本 > 記紀神話  文献:1821

天忍日神
あめのおしひのかみ
 日本記紀神話における高天原(天界)の武神。古事記のみに登場し日本書紀には見えない。大和朝廷の軍事を担当した大伴氏の祖神で、天孫降臨おいて天津久米神とともに「天之岩靭(あめのいわゆぎ)」、「頭椎之太刀(くぶつちのたち)」、「天之波土弓(あめのはぢゆみ)」、「天之真鹿児矢(あめのまかごや)」といった武具を携えて瓊瓊杵尊を先導した。
日本 > 記紀神話  文献:1821
キーワード:戦争・闘争

天之忍穂耳命
あめのおしほみみのみこと
 日本記紀神話に見える神。正しくは、「正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)」(「古事記」の表記)ないし「正哉吾勝勝速日天之忍穂耳尊(同訓)」(「日本書紀」の表記)という。また「日本書紀」には「正勝吾勝勝速日天之忍骨命(まさかあかつかちはやひあめのおしほねのみこと)」という別称も記されている。天照大御神須佐之男命が誓約(うけい)を行ったときに最初に生まれた天照大御神の御子神とされる。
 須佐之男命は伊邪那岐命に海原を支配するように命じられたが、母親である伊邪那美命のいる「根堅州国(ねのかたすくに=黄泉の世界)」に行きたいと泣き喚いて伊邪那岐命の命を聞かなかった。このため須佐之男命は海原の国を追放されたが、姉である天照大御神に挨拶してから根堅州国に向かおうと考え、天照大御神の統治する「高天原(たかまがはら=天上界)」にやってきた。弟が邪心を持っているのではと天照大御神はいぶかしんだが、須佐之男命は誤解であると弁明し、その証明として「天安河(あまのやすのかわ)」(高天原にあるとされる川)を挟んで誓約を行い、子供を産むことを提案した。この誓約の中で須佐之男命が天照大御神の左の角髪(みずら=成人男子の髪の結い方。この時天照大御神は須佐之男命を威嚇するため男装をしていた)につけていた玉を請い受け、それを噛んで吹き捨てた。この息吹の霧の中から生じたのが天之忍穂耳命であった。こうして須佐之男命によって天照大御神の身に付けていたものから男神五柱が、天照大御神によって須佐之男命の身に付けていたものから女神三柱が生じた。女神だけが生じたのは自分が邪心の無かった証拠であるとして須佐之男命は勝利を宣言する。したがって天之忍穂耳命の名前は須佐之男命が自分の勝利を喜ぶ表現になっており、「正勝吾勝」とはそのまま「正しく勝った、我は勝った」、「勝速日」とは「素早い勝利の神霊(日=ヒ=霊)」という意味だと考えられる。
 「天之忍穂耳命」という名前は、高天原におわす神であり(天之)、威厳のある(忍)、稲穂のように垂れ下がった耳を持つ神、といった意味だと考えられる。豊穣を象徴する稲穂の「ホ」という発音を名前に含む神は、天之忍穂耳命の他に、天之菩卑能命、天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命(→邇邇藝命)、天津日高日子穂穂手見命(→日子穂穂手見命)、神武天皇(神日本磐余彦火火出見尊(かむやまといわれびこほほでみのみこと)という別称がある)などがおり、いずれの神も「豊葦原の瑞穂の国(地上の国、つまり日本)」を治める神々である。しかし天之忍穂耳命は結局、実際に地上に降りることは無かった。
 天之忍穂耳命は最初に豊葦原の瑞穂の国を統治する命を受けた神である。天照大御神の命により天之忍穂耳命は地上に遣わされることになるが、天上の地上の中間点である天の浮橋に立って地上を見下ろすと、大変騒々しかったので暫く待ち地上が平定されるのを待った。その後建御雷之男神などが活躍し大国主神に国譲りを承諾させた。これにより天之忍穂耳命は再び天照大御神と高御産巣日神の命に受ける。ところがこの準備中に邇邇藝命が誕生したため、地上統治の任は彼に託されることになったのである。
日本 > 記紀神話  文献:15182122

天之児屋命
あめのこやねのみこと
 日本記紀神話における祝詞の祖神。同訓で「天兒屋命」、「天之子八根命」、「天児屋根命」などとも綴る。ただし「あめのこやのみこと」と読むとする説もある。興台産霊神(こごとむすびのかみ)の子で、天照大御神を天岩屋戸(あまのいわやど)から連れ出すために尽力した神の一人。初めて占いを行い、祝詞を奉じた神であり、祝詞、ひいては言霊を司る神とされる。天孫邇邇藝命の降臨に随伴した五伴緒神の一人でもある。
日本 > 記紀神話  文献:15182122

天之狹手依比売
あめのさでよりひめ
 記紀神話における地霊。伊邪那岐命伊邪那美命による国産みの際生まれた、大八島(おおやしま)の六番目の島。津島、つまり現在の対馬を神格化した存在。
日本 > 記紀神話  文献:1821

天手力男神
あめのたぢからおのかみ
 日本記紀神話に登場する剛力の神。「日本書紀」には「天手力男神」、「古事記」には「天手力雄神(同訓)」と記載される。「手力雄神(たぢからおのかみ)」とも呼ばれる。天照大御神が天岩屋戸に隠れた時、岩屋戸を開き、天照大御神を外に連れ出した神。邇邇藝命の天孫降臨に随伴し地上に降り、佐那那県(さなながた=現在の三重県多気郡)に住んだとされている。「手力」、つまり腕力を象徴する神であり、相撲などを始めとするスポーツ、技芸を司る神として信仰されている。
日本 > 記紀神話  文献:151821

天之常立神
あめのとこたちのかみ
 日本記紀神話において、高天原(たかまがはら)に最初に現れた特別な神の一群、「別天神」の五番目の神。「天之常立神」は古事記での表記で、日本書紀では「天常立尊(あめのとこたちのみこと)」と表記される。国之常立神と対になる神で、天(高天原)が永遠不変に存在することを象徴する神格だと考えられる。もともと古くから信仰されていた国之常立神に対応する神として新たに創造された神であったと考えられている。
日本 > 記紀神話  文献:15182122

天鳥船
あめのとりふね
鳥石楠船神

天一根
あめのひとつね
 記紀神話における地霊。伊邪那岐命伊邪那美命による国産みの際生まれた、14島の12番目の島。女島(ひめしま)、つまり姫島を神格化した存在。ここで言う姫島はおそらく大分県国東半島の東北にある姫島のことだと思われる。
日本 > 記紀神話  文献:1821

天比登都柱
あめのひとつばしら
 記紀神話における地霊。伊邪那岐命伊邪那美命による国産みの際生まれた14島のうち5番目に産まれた島で、大八島(おおやしま)に属する。伊伎島(いきのしま)つまり現在の壱岐を神格化した存在。神名の「ひとつばしら」は勿論「一つ柱」の意で、おそらく孤島であることを表現したものと思われる。
日本 > 記紀神話  文献:1821

天両屋
あめのふたや
 記紀神話における地霊。伊邪那岐命伊邪那美命による国産みの際生まれた14島のうち最後に産まれた島で六島に属する。両児島(ふたごじま)、つまり二つ並んだ島につけられた尊名だが、そういった島は日本全国にあるので現在のどの島を指すのかは判然としない。候補としては五島列島にある男女郡島が挙げられる。
日本 > 記紀神話  文献:1821

天火明命
あめのほあかりのみこと
 日本記紀神話に登場する稲作と豊穣の神。「古事記」では「天火明命(あめのほあかりのみこと)」、「日本書紀」では「天火明命」、「火明命(ほのあかりのみこと)」、「天照國照彦火明命(あまてるくにてるひこほのあかりのみこと)」と記される。名前の「ホアカリ」は稲穂が熟して色づく様子を火になぞらえたものと考えられる。出生ははっきりせず、天之忍穂耳命万幡豊秋津師比売命の子神であるとか(古事記、日本書紀第九段一書第八)、邇邇藝命木花之佐久夜毘売の第一子(日本書紀第九段一書第三および第五)、あるいは第二子(日本書紀第九段一書第ニ)、あるいは第三子(日本書紀第九段本書)であるとか、様々な出生が記されている。いずれにしても「火」と「穗」を関連させた神名を持つ天照大御神の直系の神の一柱であり、稲作を守護する穀霊神である。
日本 > 記紀神話  文献:15182122
キーワード:

天之菩卑能命
あめのほひのみこと
 日本記紀神話に登場する神の一人。「天之菩卑能命」は古事記での表記で、古事記には他に「天菩比命(同訓)」の名で書かれる。また日本書紀には「天穂日命(同訓)」、出雲国造神賀詞には「天穂比命(同訓)」、出雲国風土記には「天乃夫比命(あめのふひのみこと)」の名が見える。神名の「ほ」は稲穂、「ひ」は霊力や霊威のことで、稲穂に宿る霊力を司る神といえる。
 天照大御神須佐之男命が誓約の儀式をした際に、生まれた天照大御神の子の五柱のうち二番目の神。古事記によれば「建比良鳥命(たけひらとりのみこと)」、日本書紀によれば「大背飯三熊之大人(おおそびのみくまのうし)」又の名を「武三熊之大人(たけみくまのうし)」という子神がいる。
 天之菩卑能命は地上平定のために高天原から派遣されたが、国津神大国主神に易く懐柔し、三年も高天原に連絡をとらなかった。このため、代わりに天若日子が地上に遣わされることになった。この説話には異伝もあり、「出雲国造神寿詞」によれば天之菩卑能命は大国主神に懐柔することなく高天原への連絡も絶やさず、息子である「天夷鳥命(あめのひなどりのみこと)」と剛神経津主神を地上に呼んで地上の平定を成し遂げたという。
日本 > 記紀神話  文献:15182122

天目一箇神
あめのまひとつのかみ
 日本書紀に登場する天津神の一人。古事記には言及されない。「天之麻比止都禰命(あめのひとつねのみこと)」、「天久斯麻比止都命(あめのくしまひとつのみこと)」とも呼ばれる。天津日子根命の息子とされる。「日本書紀」によれば天照大御神が天岩屋戸にこもった際に刀剣や鉄鐸を作り、また大物主神(大国主神)を祀った時は金工として御料物を奉った。また邇邇藝命が地上に降臨した際の随伴神の一人として名を連ねられている。
 金工鍛冶の祖神とされ、「天目一箇神」という名前は鍛冶職人が片目で長時間火を見つづけるため片目の萎える職業病を「目が一個の神」として表したと考えられる。
日本 > 記紀神話  文献:1822
キーワード:一つ目・片目

天水分神
あめのみくまりのかみ
 古事記に登場する水の神(日本書紀には言及されていない)。国水分神とともに速秋津日子神速秋津比売神両神から生まれたが、伊邪那岐命伊邪那美命両神の御子神35柱に数えられている。神名の「水分(みくまり)」は「水配り」を意味するため、分水嶺の神とされ、水流の分岐点や水源地などに祀られることが多い。また「みくまり」を「御子守(みこもり)」と解し、子守りの神として信仰される場合もある。
日本 > 記紀神話  文献:151821
キーワード:湖沼・河川

天之御中主神
あめのみなかぬしのかみ
 天地開闢神話で、宇宙に一番最初に出現し、高天原の主宰神となった神である。古事記では「天之御中主神」、日本書紀では「天御中主尊(あめのみなかぬしのみこと)」の名で記されている。造化三神、あるいは三柱の神と言われる三神の一柱で、その名の示すとおり宇宙の真ん中にあって支配する神であり、日本神話の神々の筆頭に位置付けられている。別天神の一柱にも数えられる。宇宙の根源であり、また高天原の最高司令官でもあるにも関わらず、人間にわかるような形では活動しない、いわゆる閑職神であるため、天之御中主神を主宰神として祀る神社は全国的にも少ない。  天之御中主神が、一般に馴染みのある姿を表しているのが妙見信仰である。北極星を仏教用語で妙見、あるいは北辰といい、これを神格化したものは妙見菩薩と呼ばれる。天のはるか高みに隠れている天之御中主神は、妙見菩薩と同一視される事により、「妙見さん」として信仰された。
日本 > 記紀神話  文献:1518202122

天御柱神
あめのみはしらのかみ
 日本記紀神話に見える一対の風の神の一柱。もう一柱は国御柱神。神名の「御柱(みはしら)」は竜巻によって起こる風の柱を形容したものと思われる。この両神は奈良県にある竜田神社の祭神として知られているが、別名を「志那都彦神(しなつひこのかみ)」と言い、古事記に登場する伊邪那岐命伊邪那美命の子神「志那都比古神(しなつひこのかみ)」と同一視される。日本書記にも「級長津彦命(しなつひこのみこと)」の名が「級長戸辺命(しなとべのみこと)」の別名として登場するが、級長戸辺命は女性神で国御柱神を指す。大雨洪水、台風などの災害をもたらす神だが、祀ることによって逆に豊作をもたらし、悪疫を防ぐ守護神ともなる。風、ひいては風雨を支配する農業の守護神、さらに海上安全の神として古くから信仰されている。
日本 > 記紀神話  文献:182122

天若日子
あめのわかひこ
 日本記紀神話に登場する神。「天若日子」は古事記での表記で、日本書紀では「天稚彦(同訓/あめわかひこ)」と表記される。天津国玉(あまつくにたま)の子神で、天之菩卑能命に次いで地上を平定するために高天原から葦原中国(あしはらなかつくに)に降臨する。天若日子は国譲りの交渉の為に、「天之麻迦の旧字体古弓(あめのまかごゆみ)」と「天之波波矢(あめのはばや)」を与えられて派遣された。しかし天之菩卑能命と同じく結局大国主神の意のままになってしまい、大国主神の娘である下光比売命を妃に迎え、八年間も高天原との連絡を絶ってしまう。思金神は雉名鳴女(きざしななきめ)を遣わして天照大御神の下した勅令をさえずらせて天若日子を改心させようとしたが、国津神の天探女神のそそのかされて雉名鳴女に向かって天之波波矢を射放ってしまう。矢は雉名鳴女をすり抜けて高天原の高御産巣日神の元にまで届いた。高御産巣日神が「悪神を射た矢なら天若日子に当たるな。天若日子邪心があったなら当たれ」と言いながら矢を投げたところ、この矢は天若日子に命中し、彼は死んだ。
 後日、天若日子の親しかった阿遅志貴高日子根神が弔問をしに葬式に訪れたところ、阿遅志貴高日子根神があまりにも天若日子の似ているので蘇った起きてきたのかと勘違いされて大騒ぎになったという。
日本 > 記紀神話  文献:182122

アメミット
Amemait
 エジプトに登場する死を司る怪物。「アムムト(Ammut)」、「アムミト(Ammit,Am-mit)」、「アムムト(Ammut)」、「アメルマイト(Amermait)」、「アミト(Ammit)」とも呼ばれる。ワニの頭を持ち、胴体は猫科の大型捕食動物(ライオンであることが多い)、臀部(尻)はカバで表される。「霊を貪り食う者」と称される。元々はレーに随行しレーやオシリスが打ち負かした敵を食べてしまう蛇の姿をした怪物であったが、オシリスの神話と結び付けられ罪人の魂を食べる怪物とされた。つまり、オシリスの死者の審判において、善人とされた者は真実の神マァトに導かれるが、悪人とされた者はアメミットの手にかかり、丸呑みにされてしまうのである。
アフリカ > エジプト神話  文献:03041030
キーワード:合成獣蛇・龍・ドラゴン亀・蛙・トカゲ・ワニ死・冥界

アメレタト
Ameretat
 「アムルタート」とも。ゾロアスター教の「聖なる不死者」アメサ・スペンタの一員。「不死」、「不滅」と「植物」を司り、人間に食物の恵みを与える存在で、「完全」と「水」を司るハウルヴァタトと対で語られることが多い。ハウルヴァタトと共に女神とされる。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:40
キーワード:花・植物・樹木

アモーガシディ
Amoghasiddhi
 仏教において如来の一人。中国や日本では「不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)」と漢訳される。その名は「必ず成就させる」という意味があり、人々の煩悩を断ち切り、あらゆることを円満に成就させるという。日本ではあまり信仰されないが、ネパール仏教では重要視される。五智如来の一人として、大日如来の五智の一、「成所作智(じょうしょさち=人々を悟らせるための能力を持っていること)」を象徴する。
インド亜大陸 > 仏教  文献:07

アモーガパーシャ
Amoghapāśa
 仏教において、アヴァローキテーシュヴァラ(観音菩薩)の変化した姿、いわゆる「変化観音(へんげかんのん)」の一つ。日本や中国においては「不空羂索観音(ふくうけんじゃくかんのん/ふくうけんさくかんのん)」と称する。「不空(アモーガ)」とは間違いが無いこと、「羂索(パーシャ)」とは、獣や魚を捕らえる網や綱のことを示し、アモーガパーシャはこの慈悲の羂索をもって一つの失敗もなく、漏らさず衆生を救済するとされる。
インド亜大陸 > 仏教

アモッケン
Amotken
 アメリカのネイティブアメリカンの一部族、セイリッシ族における天空神にして創造神。セイリッシ族における世界観では、世界は地下と地上、天上界の三つに分けられるが、アモッケンは天上界に一人で住む至高の神である。コヨーテはこの神の使いと考えられた(ただしセイリッシ族におけるコヨーテはネイティブアメリカンの神話に汎的に見られるトリックスター的な性格ではない)。アモッケンは賢く慈悲にあふれた老人と考えられ、自分が創造した全てを常に気にかけているとされる。「邪悪」、「善」、「大地」、「火」、「水」の五要素はアモッケンの娘とされる。
北米 > ネイティブアメリカン  文献:48

アモル
Amor
 ローマ神話における恋を司る神。ギリシア神話のエロスに相当する。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

アモレオナグ
 
 日本の奄美大島における天女。漢字では「阿母礼女」などと書く。「天から降りてきた女」の意。「アモロオナグ」、「アマオナグ」、「ハゴロモマンジョ(羽衣美女)」とも呼ばれる。天から小雨を伴って飛来し、艶かしい微笑みで男を誘惑する。これに負けた男は命を取られてしまうという。また水の入った柄杓を持っていることもあり、これを勧められるまま飲んでしまうとやはり命を取られてしまうという。ただ掌が上を向き柄を支えるような持ち方で勧めてきた場合は飲んでも大丈夫だとされる。
日本 > 沖縄  文献:24

アモロ
 
 奄美大島芦検で見かけられる妖怪。人が山道を歩いていると出現する。男には美しい女、女には白髭の男に見え、この妖怪に声を掛けられた人は魂を抜かれて死んでしまうとされる。声を掛けられる前に「タバコミショウレ」と声をかけると良いとされる。人間に出会うと峰の道に消えるという。またアモロが現れる辺りにはアモロ石というものがあって、その石には天女が降りて髪をすくという。
日本 > 沖縄  文献:19

アモン
Amon
 エジプトの神で、ムートの夫。「アメン」とも。また「アムン」とも言う。名前は「神秘」、あるいは「見えざる者」の意。ムートの夫でコンスの父親とされる。本来はテーベの地方神に過ぎなかったが、第12王朝がテーベを首都として統一王国を作った時に、全国へと崇拝が広まり、第18王朝の頃にはエジプト全体の最高神とされるに至った。ヘリオポリスの最高太陽神レー(ラー)と融合され「アモン・ラー」と呼ばれ神々の王とされる。「見えざる者」の名の通り、神々の前にさえ姿を見せず、シューに懇願されたときでさえ雄羊の毛皮と頭をかぶった変装した姿で現われている。また自分の真の名を絶対に明かさない不可触の神であり、それゆえどんな神でさえ彼を傷つけることは出来ないという。また神々の魂であり人格、つまり神々のバーであるともされる。
 はじめは羊頭の神として表されたが、中王国以後は一対の長い羽飾りを頭に載せ、顎鬚を垂らした人間として表された。聖獣は雄羊とナイルの鵞鳥。
アフリカ > エジプト神話  文献:0730

アモン
Amon
 ユダヤの魔神だが、元々はエジプトのアモンから来ている。その姿は一般的に頭に2枚の長い羽毛をつけた黒青色の人間の姿で表されるが、羊頭の人間や、羊そのもの、ガチョウといった形態になる事もある。「炎の侯爵」の異名を持ち、過去や未来の出来事を知り、恋愛の秘儀に通じているといわれている。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:0304
キーワード:

あやかし
 
 日本における妖怪、怪異の一種。「あやかり」とも言う。長崎県では海上に現われる怪火を、山口県や佐賀県では船幽霊のことをいう。おそらく海における怪現象一般を指す言葉だと思われる。鳥山石燕は「今昔百鬼拾遺」に海蛇のようなあやかしを描いており、現在はこの姿があやかしとして広く認知されているが、これはイクチを元にしたと考えられている。
日本 > 妖怪・その他  文献:0324
キーワード:海・大洋・航海蛇・龍・ドラゴン

阿夜訶志古泥神
あやかしこねのかみ
 日本記紀神話に登場する女神で神世七代の一人。男神於母陀流神と対で一柱を成す。「阿夜訶志古泥神」は古事記での表記で、日本書紀では「惶根尊(かしこねのみこと)」、「吾屋惶根尊(あやかしこねのみこと)」、「忌橿城尊(いむかしきのみこと)」、「青橿城根尊(あおかしきねのみこと)」、「吾屋橿城尊(あやかしきのみこと)」などと記される。「あやかしこ」とは「奇(あや)に畏(かしこ)し」、つまり「言い表せないほどに恐れ敬うべき」という言葉を名詞化したもので、続く「ね」は美称である。何故この言葉が神格化されたかというと、対になる於母陀流神の神名を大地が整ったことを示すものであるとすれば、それを祝福する言葉として、あるいは容貌が整って美しいことを指すとすれば、あとに生まれる伊邪那岐神に妻である伊邪那美神がかけた言葉を神格化したものと考えられる。しかしながら後者の説を採るならば、阿夜訶志古泥神と於母陀流神は伊邪那岐神ら夫婦神より後に生まれることにした方が自然である。本地垂迹説においては神世七代の六代目であることから於母陀流神と共に第六天魔王(他化自在天)と同一視される。
日本 > 記紀神話  文献:1821

アヤタル
Ajatar
アイアタル

アヤッタラ
Ajattara
アイアタル

アユスト
Ajysyt
 シベリアのヤクート族において、女性の出産を助けるとされる女神。たえず前後に身をゆすっており、こうして生命力の伸長を図るとされる。イチタの化身と考えられた。
東アジア > シベリア

アラ
Ara
 ボルネオのダヤク族に属する、イバン族の創世神話に登場する精霊。時が始まった頃、鳥の姿をしたアラは、別の精霊イリクとともに、果てしない大洋の上を漂っていたという。二羽の鳥は、二つの巨大な卵を海から拾い上げた。その一つからアラが空を創り、イリクが大地を創った。だが空に対して大地があまりにも大きくなりすぎたため、二人の精霊は大地をぎゅっと押し縮めた。こうして山や谷、川や池が生じた。やがて植物が現れた頃、彼らは人間を作る事にした。最初は樹液から作ろうとしたがうまくいかなかったので土を用いることにした。最初に人間達の形をこしらえると、精霊たちは自ら鳥の唄をさえずって、彼らに命を授けた。
東南アジア > インドネシア  文献:02
キーワード:鳥類

アラー
Allah
 元々はイスラム教以前にアラビア半島で信仰されていた神。「アッラー」とも。唯一神ではなかったが最高神であった。他の神々とともに天に住んでおり、地球を創造しその上に水を分け与えた。イスラム教以前のアラビアではアニミズムが信じられていたが、預言者ムハンマドはアラーが唯一の神にして全面的服従が必要であり、他の神を崇拝することは冒涜であると宣言した。至高にして超越的であり、あらゆる生物を創りあらゆる自然を支配し、恵みを与え、最後に人間を裁く者だとされる。それと同時に喜んだり怒ったり考え直したりといった人間的な性格も兼ね備えているという。「生まず、生まれず、並ぶもの何一つなき」神で、アラー自身とアラーの被創造物はまったく異なったものであり、アラーを偶像化することは禁止されている。イスラム教の聖典コーランでは99個の名前が与えられているが、100番目のもっとも偉大な名前は人間には明かされていない。
西アジア > イスラム教  文献:0107

アラウォティア
Arawotya
 オーストラリア北部に住んでいたアボリジニ、ウォンカマラ族の神話に登場する空の精霊。オーストラリア南部やクイーンズランド西部といった、乾燥地域に超自然的な方法で水の恵みをもたらした精霊とされる。
環太平洋 > オセアニア  文献:11

アラウン
Arawn
 ウェールズ神話における異界「アンヌン(Annwn,アンヌヴン(Annwfn))とも」の支配者。アンヌンは言わば理想郷で、ワインの泉が湧き、平和で豊かさに溢れる場所だった。アンヌンの魔法の大鍋は病人を完治させ死者を蘇らせたという。アラウンは灰色の服を纏っており、夜になると猟犬を駆り空を飛んだという。この猟犬は元は霊魂であり、白い毛で耳だけ赤く、魂達をアンヌンへ案内する役目を担っていた。ウェールズ南部のドゥヴェドの族長であったプウィルは、狩りの途中で偶然会ったアラウンと互いに姿を交換し、アラウンの敵であったハヴガンを代わりに倒すという契約をした。これは見事果たされ、ドゥヴェドは以後栄えたという。
西ヨーロッパ > ケルト神話・アイルランド神話  文献:0942

アラット
Allat
アル=ラート

アリアー
Ariā
 ニュージーランドのマオリ族において、目に見えない超自然的な存在であるアトゥアが虫や犬、鳥、星などといった物質的な姿をとって人間の目に見えるように顕在化したもの。しばしば建造物に彫刻として彫られる。アリアーの出現は多くの場合、病気や不幸の前兆であるため、マオリ族の人々はアリアーを恐れる。例えばモコ・カーカーリキは最も恐ろしいアリアーとして知られている。
環太平洋 > ポリネシア  文献:115455
キーワード:病気

アリアンロッド
Arianrhod
 ケルト神話においてダヌの娘とされる女神。処女のまま子神を生んだという。
西ヨーロッパ > ケルト神話・アイルランド神話  文献:01

アリエル
Ariel
アナエル

アリカント
Alicanto
 南米の鉱山労働者に信じられた精霊。夜に現われる鳥の姿をした精霊でその翼は金色ないし銀色にまばゆく輝いているとされる。チリの山間部に住んでいて、金や銀を大好物としてい、金を食べるアリカントは金色に、銀を食べるアリカントは銀色に光る。このためアリカントの放つ光についていけば鉱脈が見つかるとされているが、賢いアリカントは人間を欺き崖っぷちのような危険な場所に導こうとするのでうかつについていくのは危険であるとされる。
中南米 > その他  文献:1011
キーワード:鳥類

アリコーン
Alicorn
ユニコーン

アリナック
Alinnaq
 イヌイットの伝承における「月の男」。密かに実姉に恋焦がれていたアリナックはある晩姉のベッドに忍び込み姉と交わってしまう。相手の正体を知ったアリナックの姉は自分の乳房を切り落とし、弟にそれを食べるように迫り、松明を手に闇の中に逃げていった。アリナックも同じように松明をもって姉を追いかけたが、雪の上で転んだせいで松明の明かりはほとんど消えてしまった。やがて二人は天空に舞い上がり太陽と月になった。アリナックはいまだに姉を追いかけており、日食はアリナックが姉に追いついた証だとされる。
 西部北極地方の部族、特にテキガク族、アヌピアック族といったアラスカの人々の間ではアリナックは主要な神とされ、北極地方中部・東部で動物達の女主人とされるセドナに代わってアリナックがその支配者だと考えられる。クジラやアザラシなどの入った巨大なたらいを持っており、イグルー(氷のブロックの家)の内壁にそってカリブーの群れを走らせている。ただし、シャーマンたちは食糧不足の際にはアリナック本人に立ち向かわなければならない。
北米 > ネイティブアメリカン
キーワード:

アーリマン
Ahriman
アンラ・マンユ

アリンナ
Arinna
 ヒッタイトの守護女神。もともとはヒッタイトの町の名前であり、女神はアリニッドゥ(アリンナの太陽)と呼ばれていた。天と地を司るアリンナはヒッタイト王国全体で最高の守護神となり、敵から国を護り、戦いの時には国を助ける役割を担うようになった。アリンナのシンボルは日輪であり、フリ人の女神ヘパトと同じ神と考えられていた。どちらも気象の神テシュブの妻となったといわれている。 
西アジア > ヒッタイト  文献:07

アル=ウッザ
Al-Uzza
 イスラム教以前のアラビアの女神。「エロッザ(エル=オッザ)」とも呼ばれる。またアラビア北部では「ハン=ウッザイ」と呼ぶ。アラビア中央部のベドゥインの諸部族の間では最高神アラーの末娘と考えられていた。黒い石が御神体として崇拝され、その表面には「アフロディテの押し跡」と称される印や凹みがああった。アル=ウッザは木の中に住んでいるといわれており、空けの明星が彼女だといわれることもあった。アル=ウッザへの崇拝には生贄が必要であり、人間の生贄も捧げられていたことが明らかになっている。
 預言者ムハンマドが属していた部族は特にアル=ウッザを崇拝していて、ムハンマド自身もイスラムの聖なる黒石を、メッカの神殿カーバに安置したといわれている。アル=ウッザの崇拝は女性の神官によって行われ、イスラム教の時代になってもこのようなカーバに仕える神官たちは「おばあさん(アル=ウッザのこと)の子」と呼ばれつづけた。イスラム教の聖典コーランでは、アル=ウッザは「その名は、汝や汝の父祖の呼びなせるものにあらず。ただ憶測と、女神たちの欲するとことに従えるのみ」と述べられている。
西アジア > 西アジア諸神話  文献:07
キーワード:星・惑星

アルチラ
Altjira
 オーストラリア北部の乾燥地帯に住むアボリジニ、アランダ族の信じる原初の天空神であり創造神。「エリナ・イチャ・アーバマナカラ=「誰も彼を作らなかった」の意」とも呼ばれる。神話的存在が活躍していたとされるはるか昔の時代、アルケラ(ドリームタイム)以前に存在した超自然的存在であり、アルケラに活躍した精霊達を造りだした者と考えられている。エミューの足を持つ神であり、その妻と娘達は犬の足を持つという。世界に現在の形を与えると、その他の「夢に住まう永遠の者達」が地下に戻っていったのと異なり天空の頂きへと移り住んだ。トーテム信仰を持つ多くの民族の創造神と同じように、アルチラは地上にはなんの関心も示さない怠惰な神(閑職神)として知られる。
環太平洋 > オセアニア

アルデガンノ
Aldeganno
 イタリアにおけるツタの妖精あるいは精霊。ツタは薬用あるいは魔術に使われた。トゥラブーグとともに知られる。
南ヨーロッパ > イタリア伝承  文献:42
キーワード:花・植物・樹木

アルバ
Alba
トゥランナ

アルプ
Alp
 ドイツの民間伝承における妖精。複数形では「アルペ(Alpe)」。この名前はエルフと起源を等しくする。また「トルード(Trud)」と呼ばれることもある。人々が寝ている間に家の中に入り、寝ている人の胸に乗っかって悪夢を見させたり、といった悪さをする。寝ている間に髪がめちゃめちゃになっていたらそれもアルプの仕業である。アルプのどんな小さな隙間からでも入ってくるが、自分でドアや窓を開けたり出来ないので、アルプが家に入ったあとにドアや窓の隙間という隙間を全部塞ぐとアルプは帰れなくなる。二度と悪さをしないよう誓わせてから開放してやると良い。アルプは馬が好きで勝手に連れ出し、一晩中乗り回したあと放って帰ってしまうことがある。これを防ぐためには家畜の飼っている囲いの中にホウキを一本入れておくと良いとされる。
東・中央ヨーロッパ > ドイツ伝承  文献:42

アルベリ
Aluberi
 南アメリカ北部のオリノコ川流域に住むアラワク族における最高神。閑職神で人間との接点はなく人類の創造者でもない(創造神はクルルマニクリミナ。彼等はアルベリの"代理人"とされる)が、世界の起源の力(原動力)であるとされる。
中南米 > その他  文献:08

アルマロス
Armaros, Armars
 旧約聖書偽典「エノク書」においてアザゼルシェミハザなどの天使と共に人間の娘と結婚し知識を与えるという大罪を犯したグリゴリの一員。「アルメルス(Armers)」、「ファルマロス(Pharmaros,Pharumaros)」、「アバロス(Abaros)」、「アレアロス(Arearos)」などの名でも呼ばれる。人間に魔法や妖術の技を無効にする、護法についての知識を与えたとされる。また、もっとも犯してはならない「神の名を教える」という罪をおかした張本人ともされている。
ヨーロッパ全般 > キリスト教・ユダヤ教  文献:1213

アル=ラート
Al-Lat
 イスラム教以前にアラビアの北部・中央部で崇拝された女神。「アラット(Allat)」とも呼ばれる。メッカ近郊のタイフで信仰されていた神で、タイフでは白い花崗岩がアル=ラートの御神体とされた。信者、特に女性達はこの石の周りをめぐって、アル=ラートを崇めた。アル=ラートに関する詳しい記録は残っていないが、おそらく大母神であり、大地を司る神であったと考えられている。最高神アラーの三人娘の一人を言われて、太陽、月ないし金星と関係があるとされる。
西アジア > 西アジア諸神話  文献:07

アレオプ・エナプ
Areop Enap
 ミクロネシアで汎的に知られる、世界の原初にいたとされる蜘蛛。世界の始まりは天も地もなく、果てしない海だった。そこにいたアレオプ・エナプはある日巨大な貝を見つけた。アレオプ・エナプが呪文を唱えると貝の口が少しだけ開いた。中に入ってみると空洞だった。そこにいた大小のカタツムリのうち小さい方に、アレオプ・エナプは貝の天井を押し上げてくれるように頼んだ。このカタツムリは月になった。月明かりで地虫を見つけたアレオプ・エナプは地虫にさらに天井を押し上げてくれるように頼んだ。地虫は大汗をかきながらも天井を持ち上げた。アレオプ・エナプはこの汗を集めて海にした。
環太平洋 > ミクロネシア  文献:02
キーワード:虫類

アレムハ
Aremuha
 ニューヘブリデス諸島のタナ島において、超自然的な存在、精霊を指す総称。かつての神的な強大な力を持っていた存在も、今では弱小な力を持った精霊(アレムハ)とされることもある。
環太平洋 > メラネシア

アーレン・コーニゲン
Ahren Konigen
 オーストリアのザルツブルグに伝わる穀物の男の精霊。名前は「穀物の王」を意味する。刈り取られた穀物の最後の一束に宿り、収穫後の宴会において祀られる。
東・中央ヨーロッパ > オーストリア  文献:11
キーワード:食物・穀物・台所

アロエス
Aloés
 中世のヨーロッパにおける想像上の動物の一。普通の魚だと頭部になる部分から鵞鳥の首が生えている(しかもボートより大きく育つ)。この混成生物は"スペイン島"で目撃されたと伝えられているが、これは現在のヒスパニオラ(小スペインという意味がある)島のことだと考えられている。
ヨーロッパ全般 > 伝承・その他  文献:10
キーワード:合成獣鳥類魚類

アロム
Alom
 マヤ神話において創世の時にのみその名が記される、母なる者、子を生み出す神。創世の神々の一柱。クアホロムと対となる存在。
中南米 > マヤ神話・他

アロム
Arom
 アフガニスタンにおける契約の神。カム族が重要な契約を行う時に現われる。契約においてはアロムに雄山羊が捧げられる。
中央アジア > アフガニスタン

淡道之穂之狭別
あわじのほのさわけ
 記紀神話における地霊。伊邪那岐命伊邪那美命による国産みの際生まれた14島の1番目で大八島(おおやしま)に属する。淡路島を神格化した存在で、「穂之狭(ほのさ)」とは穂が生えるのが早い、の意、「別(わけ)」は人格を表す。
日本 > 記紀神話  文献:1821

淡島様
あわしまさま
 全国の淡島神社に祭られる女性を婦人病から守る女神。「淡島明神」とも呼ばれる。しかし、淡島神社の本社である和歌山県にある加太神社の祭神は元来少名毘古那神である。淡島様信仰は江戸元禄時代に淡島願人と呼ばれる乞食行者が、淡島様の小宮をたずさえたり、背負ったりして、その由来を語り、門付けをして諸国を行脚していたことで広まった。それによれば、淡島様は元々住吉神社の女房神だったが、「帯下の病(帯下とは女性性器からの分泌物のこと。婦人病の一種のことだと思われる)」に罹ったため、大社の門扉に乗せて海に流され、和歌山に流れ着き女性の守り神となったという。婦人病、縁結び、安産の神として信仰を集め、花柳病(性病のこと)や婦人病に罹った女性が淡島様に腰布を奉納して平癒を祈願することもあった。
日本 > 日本民俗信仰  文献:18

アン
An
 シュメール神話における天の化身であり、エンリルの父神。バビロニア神話ではアヌと呼ばれた。次々と王座につく神が世襲制で代わっていくシュメール神話において最初の神々の王を務めたアヌであるが、マルドゥークアッシュルといった活動的で強力な神が登場するに至って、その勢力は大幅に衰退する。創造神であり、星を象徴する天の神であり、王権を保証するという重要な神であるにも関わらず、神々の権力競争に負け、エンリルに王座を譲ったという経歴があるためか、あまり積極的に信仰されたという記録は残されていない。
西アジア > アッシリア・バビロニア  文献:01
キーワード:星・惑星

アンクー
Ankou
 フランスのブルターニュ地方に伝わる死を象徴する妖精。名前はケルト神話の冥界神「アンケウ(Ankeu)」に由来する。四頭立ての荷馬車に乗った骸骨で、フードのついた黒服を着ている。或いは白い経帷子を着ているとされることもある。従者を率いて死に貧している者の前に現われ魂を刈り取っていくとされる。アンクーは独りではなく、ブルターニュのそれぞれの村、或いは教区に一人ずついて、毎年その年の最後に死んだ者がアンクーになるとされる。
西ヨーロッパ > フランス伝承  文献:42
キーワード:死・冥界

アングルボザ
Angrboda
 北欧神話における女巨人ギューグルの一人。「アンゲルボダ(Angerboda)」、「アングル・ボザ(Angr-boda)」、「アングボダ(Angboda,Angbodha)」とも呼ばれる。名前は「苦痛の預言者」ないし「悲しみをもたらすもの」などと訳される。策略の神ロキの妻。二人の間には冥界の女神ヘル、巨狼フェンリル、世界蛇ミズガルズオルムなどの子供が生まれた。また巨人ギュミルとの間にゲルズをもうけている。
北ヨーロッパ > 北欧神話  文献:0910

アンゲローナ
Angerona
 ローマの女神の一人。彼女を祀る祭礼が12月21日にある。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

アンゴント
Angont
 北アメリカのネイティブアメリカンの一部族、イロコイ族に属するヒューロン族に伝わる巨大な蛇の怪物。洞窟や森、沼といった人気のない奥地に住むとされるが、その尻尾は住処から楽に人家まで至るほど長く、全身から放たれる毒で災害や病気をもたらすという。アンゴントは魔法薬を作るために最適な材料とされるが、皮膚の欠けらでさえ致命的な毒を帯びるアンゴントからは皮膚を採取することさえ困難である。
北米 > ネイティブアメリカン  文献:10
キーワード:蛇・龍・ドラゴン病気

アンジェア
Anjea
 オーストラリア北西部、クイーンズランド地域に住むアボリジニーたちが信じる精霊の一種。妊娠している女性の子宮に泥の赤ん坊として住むという。子供が生まれた女性の母(子の祖母)は後産(胎児を分娩した後、排出された胎盤)を「アンジェアが集めたもの」として隠し、新たな子が宿るまで木の虚などの聖なる場所に保存する。
環太平洋 > オセアニナ

アンシャル
Anshar
 バビロニア神話において女性原理であるキシャルに対応して男性原理を司り天界を支配する神。名は「天の果て」を意味する。太初の真水アプスと太初の塩水ティアマトが交じり合った時、波と太初の神ラームとラハムが生まれたが、アンシャルとキシャルはこの波から生まれた夫婦であり、二人は空の神アヌと、真水と叡智の神エアを産んだ。紀元前9世紀以降は、アッシリアの戦いの神アッシュルと同一の存在と見られるようになった。
西アジア > アッシリア・バビロニア  文献:07

アンシーリーコート
Unseelie Court
 イギリスにおける悪い妖精達の総称。妖精を悪い妖精と良い妖精とに分けた時の、悪い妖精達のこと。良い妖精たちはシーリーコートと呼ばれる。ヤレリー・ブラウンレッドキャップドゥアルガー、などがアンシーリーコートに入る。彼らの名前を口に出すと呼び出したことになってしまうとも言われるので、アンシーリーコートの代わりに「スルーア(群れの意)」という名称で呼ぶことでそれを避けることもある。根がひねくれ者の妖精達なので、いくら親切にされてもその恩に報いようなどとは決して思わない。
西ヨーロッパ > イングランド伝承  文献:03

アンジン・アジャク
Anjing ajak
 インドネシアのジャワ島における犬人間。アンジン・アジャクは昼間は人間だが夜は犬に変身して人を襲って食べるという。
東南アジア > インドネシア  文献:10
キーワード:犬・狼

アンダカ
Andhaka
 インド神話に登場する暗黒神。名前は「盲者」を意味する。シヴァが苦行をしている最中にふざけてシヴァの娘が彼の目をふさいだ。すると忽ち世界は暗黒になり、アンダカが生まれたという。アンダカは「暗黒」という意味を持つ。アンダカはヒラヌヤークシャに里子に出されアスラ族として育ったが、シヴァの妻であるパールバティーに恋心を抱くようになった。しかしそこにシヴァが現われ、アンダカを賭博により打ち負かした。アンダカはこれによって母親(パールバティー)に恋心を抱いたことを後悔し、シヴァに心より謝ったので、シヴァはアンダカをデーヴァに戻したという。
 また別の伝説ではアンダカは矢が刺さっても死なず、傷口から滴る血の一粒ずつから新しいアンダカが生まれたという。こうして生まれた数千のアンダカと相対したシヴァは「ヨーゲーシュバリー(Yogeśvarī)」(ドゥルガーの一形態とされる)のシャクティ(女性の性力)やヴィシュヌの力を借りてこれを退治したという。
インド亜大陸 > インド神話・ヒンズー教 文献:39

アンタボガ
Antaboga
 バリ島神話における宇宙蛇。ヒンドゥー教のアナンタを起源とする。宇宙の最初に存在していたのはアンタボガだけで、この巨大な蛇は瞑想によって宇宙亀ベダワンを創り出した。ジャワ島では「アナンタボガ(Anantaboga)」といい冥界に住むとされる。
東南アジア > インドネシア  文献:10
キーワード:蛇・龍・ドラゴン

アンチャンチョ
Anchancho
 ボリビアのアイマラ族における邪悪な精霊。「アンチャンチュ(Anchanchu)」とも呼ばれる。激しいつむじ風とともに現われ人々に病気をもたらしたり、寝てる間に血を吸ったりする。普段はアンデス山中の川の中に住んでいるとされる。
中南米 > その他  文献:11
キーワード:病気

アンドラス
Andras
 ユダヤの魔神で、「不和の侯爵」と称される。オオガラス(或いはカラス)の頭をした天使の姿をしている。頑強な狼にまたがり、右手に燃える剣を持ち、常に破壊的な言動をする。人々を不和に導きその状況を楽しむという。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:0304
キーワード:鳥類

アンドレアルフース
Andrealphus
 ユダヤの魔神で、「美貌候」と称される。美しく大きな孔雀の姿をしているが、人間の姿で現われることもある。数学、幾何学、天文学に関する知識を教授してくれる。人間のいけにえがあれば、人間を鳥の姿に変えて、空を飛べるようにもしてくれる。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:0304

アンドロマリウス
Andromalius
 ユダヤの魔神で、「正義の伯爵」と称される。片手に蛇を巻きつけた男の姿をしていて、盗まれた品物を取り返してくれたり、犯人の正体を教えてくれたりする。また、秘密の取引や財宝の隠し場所を知る能力を持っている。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:04

アンナ・ペレンナ
Anna Perenna
 ローマの女神の一人。彼女を祭礼は無礼講で、卑猥な歌などを大声で歌う。
南ヨーロッパ > イタリア神話・ローマ神話  文献:01

アンバイ
Anbay
 イスラム教以前のアラビア半島南部の神で、「正義の神」として知られていた。自分のより下位の神である月神アムを託宣神として従えるとされる。
西アジア > 西アジア諸神話  文献:07

阿波様
あんばさま
 日本の関東より東北において信仰される疱瘡(天然痘)除けと漁業の神。「あばさま」とも読む。また「阿波神(あんばがみ)」とも称する。千葉県から岩手県の沿海地方で信仰され、茨城県桜川村(旧阿波村)の阿波大杉神社などに祀られる。疱瘡神としての信仰は後代のものだと考えられ、元来は豊漁神であり、船霊様の親神とされた。
日本 > 日本民俗信仰  文献:18
キーワード:治癒・医療

アンフィヴェナ
Amphivena
アンフィスバエナ

アンフィスバエナ
Amphisbaena
 ユーロッパの伝承や伝説に登場し、また紋章に使用される架空の爬虫類。名前は「両方向に進める」を意味するギリシア語に由来している。ローマの詩人ルカヌスの作品「ファルサリア」は、アンフィスバエナを北アフリカの砂漠に住み、多くの爬虫類同様砂の中に卵を産み落とす生物として記している。しかしアンフィスバエナの最大の特徴は尾にも頭がついていることである。中世の動物寓話集の余白には翼の生えた二本足のドラゴンとしてアンフィスバエナが描かれたが、普通尾についた頭の後部を前の頭が加えた姿で描かれている。アンフィスバエナはこの輪のような体勢のまま地面を転がって進むとされ、どちらの方向にでも自由に、また素早く動くことができるとされる。しかもその光る目は暗闇を見通し、歯は毒を持っているので襲われると大変危険だという。
 しかし、アンフィスバエナを捕らえて乾燥させた皮膚はリウマチの治療に効果があるとされ、また生きたまま捕らえられたアンフィスバエナは妊娠のお守りにもなるという。おそらくアフリカに生息する尾が頭のように持ち上がる種類の蛇を目撃した旅行家の話が誇張されたものだと思われる。
ヨーロッパ全般 > グリモアなど  文献:0310
キーワード:蛇・龍・ドラゴン治癒・医療

アンプク
 
 フィリピンのパラワン島の先住民族の神。まだ人間が地上におらず、天上に住んでいた頃、人間がアンプクに地上に降りてみたいと願い出た。アンプクは地上での生活は辛いから早く戻ってくるように、と警告しつつ、ディワタの元へと人間たちを送り出した。アンプクによって最初に作り出されたシャーマンであるディワタも、人間達が地上に行くことをとめたが、結局人間達は無理やり地上へと降りてしまった。地上はアンプクやディワタが言ったとおり、ひどいところで、悪霊や蠍や蛇だらけだったが、それでも人間達は天上に帰ることを拒んだ。それ以後人間はすべての悪事を我慢し、死ぬことも受け入れなくてはならなくなった。
東南アジア > マレーシア地域  文献:02

アンマ
Anma
 西アフリカのドゴン族における創造神。ノンモユルグの父。アフリカでは創造神=天空神という図式は普遍的なものであり、アンマも大いなる空を支配する神である。アンマは二つの白い壷を造り、一方には赤銅を螺旋状に巻いて太陽とし、一方には白銅を螺旋状に巻いて月とした。次に虚空に土を投げてそれを星々にした。天空を創造したアンマは次にやはり土を使って大地を創造した。大地は女性であり、白蟻の巣が彼女の子宮で、黒蟻の蟻塚が彼女の陰核となった。アンマは自分が男だと主張する大地から蟻塚を切除(つまり割礼)して大地と交わった。そして生まれたのがユルグ(狐)だったが、ユルグは不完全だった。再び交わって生まれたのが理想的な存在、大精霊ノンモで、アンマはノンモに世界創造の完了をゆだねて自分は天の奥に退き、人間との接触を絶つ。
アフリカ > アフリカ緒神話  文献:01
キーワード:虫類

アンラ・マンユ
Angra Mainyu
 ゾロアスター教において、最高の神アフラ・マズダに敵対する最高の悪魔。絶対的な悪が人格化されたもの。「アーリマン/アフリマン(Ahriman)」、「アハルマン(Aharman)」、「ダハク(Dahak)」、「アング・マイニュウス(Angro Mainyus)」などの別称がある。ゾロアスター教化以前は完全な悪ではなく、祭司がアンラ・マンユに生贄を捧げたりといった儀式もあったが、ゾロアスター教では善悪の二元性の悪を司るものとして位置付けられた。この世が始まる前の戦いで善神に敗れ、北方にある無限の深淵の暗闇に落とされたが、徐々に勢力を回復し、様々な悪をこの世にもたらすとされる。決まった姿があるわけではなく、出現する時はヘビ、カエル、トカゲなどの魔性の生き物の姿をとるが、人間に化けて王に取り入りその国を没落させたりといったこともする。悪竜アジ・ダハーカ、大魔アエシュマ、地獄の悪魔ダエーワなど、全ての悪を配下に治めているとされる。
 後代になって絶対善アフラ・マズダと絶対悪アンラ・マンユが同時に存在するという矛盾から、二者をさらに超越する永遠の存在としてズルヴァン・アカラナを想定する「ズルヴァン派」と呼ばれる一派が興った。
西アジア > 古代ペルシア・ゾロアスター教  文献:0103041340
キーワード:亀・蛙・トカゲ・ワニ